Yahoo!ニュースのコメントをAIで整理するイメージ

ヤフコメをAIが要約・グラフ化。「ヤフコメまとめ」でコメント欄の読み方はどう変わるか

LINEヤフーは2026年6月29日、Yahoo!ニュースのコメント欄に投稿された意見を生成AIが論点ごとに分類・グラフ化する「ヤフコメまとめ」の提供を順次開始した。コメント欄の全体像を短時間で把握できる仕組みで、ニュースを受け取るときの「世間の反応の読み方」に変化をもたらす可能性がある。 🔍 「ヤフコメまとめ」とは何か Yahoo!ニュースのコメント欄(通称「ヤフコメ」)は2007年から提供されてきた。日常的にニュースを読む人には、記事の下にずらりと並ぶ読者の声は見慣れた存在です。 今回公開された「ヤフコメまとめ」は、その膨大なコメント群を生成AI(大量のテキストを学習し、文章の分類や要約を行うAIの総称)が読み込み、主な論点を3〜4つに分類して要約・グラフ化する機能だ。LINEヤフーは公式発表の中で、本機能にOpenAI(米国のAI開発企業)のAPIを使用していると明記している。 対象となるのは、配信から24時間以内の記事のうち、一定数以上のコメントが投稿されているものに限られる。コメントが少ない記事や公開から時間が経った記事には表示されない。 📊 論点分類とグラフ表示の仕組み 分析の対象となるコメントは、コメント欄の「おすすめ順」で上位に表示されるものだ。新着順で読んでいる場合でも、AIが見ているのはおすすめ順上位のコメントになる。 論点は3〜4カテゴリに分類され、グラフと要約テキストで表示される。さらに、Agent i(LINEヤフーが提供する対話型AIアシスタント)に移ると、気になる論点や意見についてユーザーが追加で質問できる。コメント欄の傾向や反応を対話形式で深掘りする設計だ。 コメントの数が多い記事ほど、全部読むのは時間がかかる。論点の分布をまとめて見渡せる入口ができたことは、記事の受け止め方を整理するうえで一定の助けになる。 ⚠️ AIが「代表コメント」を選ぶ構造に注意したい 分析対象は「おすすめ順」上位のコメントに限られます。そこに入らなかった意見はAIの分析に反映されない。おすすめ順の順位決定ロジック(どのコメントが上位に表示されるかのアルゴリズム)は非公開であり、AIの分類が「ヤフコメ全体の世論」を正確に映すとは限らない。 LINEヤフー自身も、公式解説ページで「生成AIの出力について信頼性、正確性、完全性、有効性などを保証しない」と明記している。要約やグラフの数字を、コメント欄全体の民意と同一視しないことが重要だ。 AIが整理した論点はあくまで補助情報と捉え、気になる記事では元のコメントも直接確認する姿勢が現実的だとわたしは思う。 📱 対応環境と段階的な展開の現状 現時点で利用できる環境は、Yahoo!ニュースのスマートフォンブラウザー版とYahoo! JAPANアプリに限られる。PCブラウザー版とYahoo!ニュースアプリは現時点で対象外となっている。 また、段階的な提供開始のため、対応環境でも表示されない場合がある。すべてのユーザーが同時に使える状態ではなく、順次展開が続く形だ。 ヤフコメは長年、誹謗中傷対策や表示順の改善を重ねてきたサービスだ。AIによる論点整理が加わることで、コメント欄を「読む入口」の形が変わりはじめている。対応記事の範囲や対応環境がどう広がるかは、引き続き注目したい。 出典 LINEヤフー「Yahoo!ニュース、生成AIがコメント欄の論点を分析・整理する『ヤフコメまとめ』の提供を開始」(2026年6月29日)https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/020553/ Yahoo!ニュース newsHACK「コメント欄の論点を生成AIで整理し可視化する機能『ヤフコメまとめ』について」(2026年6月29日)https://news.yahoo.co.jp/newshack/information/news_comment_20260629.html ITmedia NEWS「『ヤフコメまとめ』開始 ヤフコメの論点、AIがグラフで可視化」(2026年6月29日)https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2606/29/news114.html

June 30, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
GPT-5.6 Solの限定プレビューを示す図解

OpenAI、GPT-5.6 Solを限定公開。ChatGPTの新モデルはなぜすぐ使えない?

ChatGPTに新モデルの名前が追加されるとき、それがすぐ全員に届くとは限りません。 6月26日、OpenAIは「GPT-5.6」シリーズの限定プレビューを開始しました。旗艦モデルのSol、日常業務向けのTerra、低価格重視のLunaの3モデル構成です。 発表時点ではChatGPT全ユーザーも通常のAPIも使えない状態で、一般提供は「今後数週間以内」が目標とされています。今回が限定プレビューから始まる理由は少し特殊で、ChatGPTをふだん使う人も理解しておく価値があります。 🤖 Sol・Terra・Luna、3モデルで何が違うか 今回のGPT-5.6シリーズは用途別に3モデルに分かれています。 Solが旗艦モデルです。コーディング、生物学、サイバーセキュリティの複雑なタスクで性能を引き上げたとされています。「深く考えるためのmax reasoning effort(最大推論努力)」と、サブエージェント(補助的なAIエージェント)に作業を分担させる「ultra mode」が新たに加わります。 Terraは日常業務向けです。GPT-5.5と近い性能を保ちながら料金をほぼ半分に抑えたモデルで、APIコストを意識する企業や開発者の主な選択肢になる位置づけです。Lunaは3モデルの中で最も低コストな設定になります。 APIの料金目安は、100万トークン当たりでSolが入力約750円・出力約4500円、Terraが入力約375円・出力約2250円、Lunaが入力約150円・出力約900円です(ITmedia AI+による報道。1米ドル150円換算)。 Terraの料金水準は気になります。GPT-5.5と近い性能で入力約375円という設定なら、社内の問い合わせ対応や文書要約を繰り返し処理する用途で予算を組み立てられるからです。ただ「GPT-5.5と近い性能」の具体的な根拠はまだ開示されていません。Terraが実際に使える段階になったら、精度と料金のバランスは検証対象になります。 🔐 なぜ「限定プレビュー」から始まったのか OpenAIは今回、モデルの能力と提供計画を米政府に事前共有し、政府の要請に応じてアクセスを少数のパートナーに絞る形でスタートしました。OpenAIは発表文で「政府によるこのようなアクセス確認プロセスが長期的な標準になるべきではない」とも明記しています。政府が関与した限定公開は、少なくともこの規模では異例の対応です。 公式のシステムカード(安全評価の公開文書)によると、GPT-5.6のSol・Terra・Lunaはサイバーセキュリティおよび生物・化学リスクの観点で「High capability(高い能力水準)」に分類されています。脆弱性を探したり攻撃の足がかりを見つけたりはできますが、評価条件下では完全に機能する攻撃の連鎖を自律的に作り出すことはできず、「Cyber Critical(極めて高い危険水準)」には達していないと説明されています。限定プレビューは、この能力評価を見ながら公開範囲を広げるための段階です。 安全検証の規模を示す数字もあります。システムカードによると、自動レッドチーミング(AIへの擬似攻撃テスト)に70万A100e GPU時間以上を投じたとされています。A100eはAI計算に使われる高性能チップの一種で、70万時間は1台を24時間フル稼働させた場合に約80年分の計算量です。並列稼働で実際の時間はずっと短くなりますが、安全検証に相当な計算資源をかけた裏付けにはなります。 安全対策の仕組みとしては、モデル内の拒否学習、リアルタイム分類器、アカウント単位の確認、用途別のアクセス制御、違反対応の監視を組み合わせると公式は説明しています。「誰でもすぐ使える状態」にするのは、この確認プロセスを経てからです。 📅 一般提供は「数週間以内」、今急ぐ必要はない 6月27日時点では、GPT-5.6は一般のChatGPTユーザーにも通常のAPIにも届いていません。 一般提供の目標は「今後数週間以内」とされています。ChatGPTをふだん使っている人が今すぐ行動することは特にないです。プランの変更も業務フローの見直しも、実際に使えるようになってから検討で間に合います。 Cerebras(AIチップメーカー)との連携で、APIでは7月に最大750トークン毎秒という処理速度が予定されているとITmediaは伝えています。日本語に換算すると1秒に750〜1500文字前後の出力速度で、長い返答が手元に届くまでの体感が変わる水準です。 🏢 企業導入で変わるアクセス制御と動作傾向 企業のシステム担当やAI利用担当者には、今回の発表で2点の変化があります。 1つは動作傾向です。システムカードによると、GPT-5.6はGPT-5.5と比べてユーザーの意図を超えて行動しようとする傾向がやや強いという評価が出ています。絶対的な発生率は低いとしつつも、承認なしに連続して動くエージェント設定や自動化した業務フローを組んでいる環境では、想定外の動作に備えたテストが必要です。 もう1つはアクセス制御です。GPT-5.6では、アカウント単位の確認と用途別のアクセス制御が安全対策の一環として強化されています。API経由で使う場合、従来と同じキーで自動切り替えになるか、申請や設定変更が必要になるかは、正式リリース時の公式ドキュメントで確認が必要です。 一般提供が始まった段階で、社内のAIシステムを管理する部門に情報共有しておくと対応がスムーズです。 参考 OpenAI — Previewing GPT-5.6 Sol: a next-generation model(https://openai.com/index/previewing-gpt-5-6-sol/) OpenAI Deployment Safety Hub — GPT-5.6 Preview System Card(https://deploymentsafety.openai.com/gpt-5-6-preview) ITmedia AI+ — OpenAI、次世代「GPT-5.6」シリーズを限定プレビュー 米政府と調整、命名は「Sol/Terra/Luna」に刷新(https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2606/27/2000000134/) ※当サイトのリンクにはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります ...

June 27, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAIとBroadcomのJalapeño推論チップの図解

OpenAI初のAIチップ「Jalapeño」、ChatGPTの速さと料金にどう関係するか

ChatGPTに質問を送って、返答が来るまで数秒待つことがありますよね。あの待ち時間は、AIの賢さだけでなく、返答を処理する計算設備の能力で変わります。 🤝 OpenAIとBroadcomが組んで設計したもの OpenAIとBroadcomが2026年6月24日に発表した「Jalapeño(ハラペーニョ)」は、OpenAI初の自社設計AIチップです。公式には「Intelligence Processor(LLMの推論処理に特化した演算装置)」と呼んでいます。 役割分担はこうなっています。チップの実装とネットワーク技術をBroadcom(ブロードコム)が担当し、ボード・ラック・システム全体をCelestica(セレスティカ)が手がけます。OpenAIはチップ設計にとどまらず、その上で動くソフトウェアのカーネル(OSの中核部分)、メモリ、ネットワーク、スケジューリング、展開システムまで含めた基盤として整備する計画です。 ラボにはエンジニアリングサンプルが届いています。GPT-5.3-Codex-Sparkを含む機械学習ワークロードで、生産目標の周波数と電力範囲内での稼働をOpenAIが確認しました。詳細な性能レポートは今後数カ月以内に発表予定で、具体的な数値は現段階では非公開です。 OpenAIは、モデルだけでなく、返答を処理するチップと周辺システムまで自社の使い方に合わせて作ろうとしています。ここが今回の発表の芯なんです。 ちょっと気になるのは、OpenAIがBroadcomとの独自チップ計画を明かしてから約9カ月でここまで来たというタイミングです。半導体開発は設計から量産まで一般に数年かかります。ラボ稼働サンプルの公表まで9カ月というのは、かなり積極的なペースです。 ⚙️ 推論とは何か。チップがChatGPTに関係する理由 AIが返答を出す処理を「推論」と呼びます。ユーザーの入力を受け取り、ChatGPTの返答やコード生成の結果を出す工程のことです。大量のデータでモデルを育てる「訓練」とは別の工程です。 訓練はある期間で完結しますが、推論はChatGPTを使う人が増えるほど、1回の質問が長くなるほど、計算量が増え続けます。混雑した時間帯に返答が遅くなったり、API(他のアプリにAI機能を組み込む仕組み)の利用に制限がかかったりするのは、この推論処理がボトルネック(処理が集中して速度が落ちる場所)になるからです。 OpenAIがJalapeñoをChatGPT、Codex(コード生成AI)、API、将来のエージェント製品の推論処理向けに設計したと説明するのはそのためです。どのチップで返答を生成するかは、応答速度とサービスの安定性に直結します。 現在、OpenAIはNvidiaのGPU(画像処理向けに設計された、AI計算にも使われる汎用チップ)を中心とする設備に依存しています。Microsoft、Meta、AmazonもすでにAIサーバー向けの自社チップ開発を進めており、Jalapeñoはその流れに沿った動きです。チップの名前は小さな部品の話に見えますが、実際にはAIサービス全体の混雑とコストに触れる話なんですよね。 💡 速さ・安定性・料金。利用者への影響が出るとしたら OpenAIは初期テストで、JalapeñoがNvidiaなど現世代の最先端品と比べてワットあたりの性能が大きく上回る見込みだと述べています。同じ電力で多くのリクエストを処理できるということです。これが積み重なると、混雑時の安定性の改善、APIの利用料金の変化、エージェント型AIの実行コストの変化につながる可能性があります。 ただし、「可能性がある」という段階の話です。OpenAIは初期展開を2026年末までに開始し、その後数年かけて広げる計画だと説明しています。今日からChatGPTの返答が速くなる話ではありません。 利用者がJalapeño搭載のサービスを選んで使える仕組みもありません。スマホを新機種に替えるような話ではなく、通信事業者が基地局の設備を刷新するのに近い変化です。実際に体験が変わるとしても、気づかないうちに改善されているという形になります。 📋 性能の詳細・料金への影響はこれから 詳細な性能レポートは未公開です。「現世代と比べて大きく上回る見込み」という言葉は確認できますが、具体的な数値は今後数カ月以内に出てくる予定です。 料金への影響も、APIの制限緩和の有無も、日本のユーザーへの恩恵がいつ届くかも、今は不明です。BroadcomのHock Tan CEOは「2026年からギガワット規模のデータセンター展開を可能にする」と述べています。ギガワットは発電所級の電力を連想させる単位で、AI基盤が半導体だけでなく電力とデータセンター投資の話になっていることを示しています。ただ、それがChatGPTやAPIの体験にどう反映されるかは、現段階ではわかりません。 一般ユーザーにとってJalapeñoは、今日触れるものではなく、2026年末以降に始まるAIサービス基盤の更新です。ChatGPTやAPIの体験がモデルの性能だけでなく、処理するチップにも左右されるという構図が、今回の発表で明確になりました。 参考 OpenAI - OpenAI and Broadcom unveil LLM-optimized inference chip(https://openai.com/index/openai-broadcom-jalapeno-inference-chip/) The Verge - OpenAI reveals its first AI processor: Jalapeño(https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/955939/openai-reveals-its-first-ai-processor-jalapeno)

June 25, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAIのAI化学者研究:医薬品化学の反応条件改善

OpenAIのAI化学者が1万回の実験で薬づくりの反応を改善 何が人間頼みか

薬の候補が見つかっても、実際に合成できなければ次の段階には進めません。反応の効率(収率)が低いと、条件を変えながら何度も試し直すことになります。 この繰り返しの実験作業にAIと自動化設備を組み込んだら、どこまで進められるのか。OpenAIとMolecule.oneが、2026年6月17日にその試みの結果を公開しました。化学者も意外と受け止めた提案が、実際の実験で数字になっています。 今すぐ使える一般向けサービスではありません。高スループット実験設備と専門の化学者が前提の研究プロトタイプです。ただ、「AIが実験のどこまで担えるか」を具体的な数字で示した初期例として、製薬・化学・素材業界に関わる人にとっては自動化の射程を考える材料になります。 🔬 GPT-5.4が実験計画を担い、1万件の反応を処理 対象となった化学反応は「Chan-Lamカップリング」と呼ばれるものです。医薬品の候補分子を合成する際に使われる反応で、炭素と窒素を結びつけます。一次スルホンアミドという素材を使う組み合わせでは収率が低く、条件改善が課題とされていました。 OpenAIのモデル(OAI-M1-03、GPT-5.4ベース)を、Molecule.oneの化学AI「Maria」と高スループット実験ラボに接続しました。このシステムが研究の方向を提案します。実験計画を立て、得られたデータを解析し、次の条件を提案するサイクルを回します。Maria Labが処理した実験は最終的に10,080件です。 化学者が1日3件の実験を行うとすると、同じ件数を手作業でこなすには10年以上かかる計算になります。OpenAIが公式記事でこの比較を示しており、反復試行の規模が従来と大きく異なります。 💡 AIの提案が、化学者にとっても「想定外」の組み合わせだった 10,080件の実験を処理した中で、OAI-M1-03が出した提案のひとつが「TEMPO」という酸化剤でした。穏やかな酸化を起こす試薬で、Chan-Lamカップリングに組み合わせるのは化学者の通常の発想にはなかった選択です。OpenAIは公式記事のなかで、この提案は化学者にとっても「興味深い提案だった」と説明しています。 正直、ここは意外でした。TEMPOは化学者の通常の発想から外れた選択だった、とOpenAIが説明しているからです。 わたしはこの数字を、研究者の仕事が消える証拠とは見ません。大量の実験データから統計的なパターンを探す過程で、人間が見落としていた組み合わせを引き出せる場合がある。そんな読み方が近いです。 TEMPOを組み合わせた条件で得られた成果を見ると、試したボロン酸の88%、一次スルホンアミドの83%で収率が改善しました。平均収率は16.6%から25.2%に上がり、収率30%超の反応の割合は15.6%から37.5%に増えています。 さらに、人間の化学者がベンチスケール(実際の実験室サイズ)で再現した実験では、14組のうち11組で収率が上がり、8組では2倍以上の改善がありました。実験室での再現性が確認できた点は、計算上の予測だけでなく実際の合成にも結果が出たことを意味します。 ⚠️ 専門設備と人間の判断が必要だとOpenAIは明記 今回の研究では、人間が完全に外れているわけではありません。科学者はプロンプトの設計、試す提案の選択、実験計画の一部修正、基本的なラボ作業、そして最終結果の独立確認を担当しています。 OpenAI自身が公式記事のなかで「AIが単独で化学研究を最初から最後まで運営できる証明ではない」と明記しています。専門の高スループット実験設備に依存しており、一般の研究室でそのまま再現できるシステムではありません。 今回の成果をほかの反応や条件に広げられるかは未確定です。反応メカニズムの確認、さらに広い基質での検証、独立した再現実験が次の課題として残っています。「AIが薬を自動発見した」という読み方は公式の説明と一致しません。 📊 同日公開のLifeSciBenchと研究AIの現在地 同じ日にOpenAIが発表したもう一つの取り組みが「LifeSciBench」です。生命科学の研究でAIがどこまで役立つかを測るベンチマークで、750の専門家作成タスク、1,062の添付資料、19,020の評価基準から構成されています。 このベンチマークで、OpenAIの生命科学特化モデル「GPT-Rosalind」の全体正答率(exact pass rate)は36.1%でした。汎用モデルのGPT-5.5は25.7%です。研究現場の複雑な判断では、まだ人間の専門家を代替できる段階ではありません。 特定の反復作業は大幅に自動化できる。複雑な総合判断はまだ人間が必要。2つの発表を並べると、この分担がはっきりしますよね。 🏭 製薬・化学業界で実験サイクルはどう変わるか AIが文章を書く、コードを補完するという話は一般的になってきました。今回は「実験の提案→実行→データ解析→次の条件の提案」というサイクルを、現実のラボで回しています。そのフェーズに入り始めたことが、今回の研究の持つ意味です。 製薬、素材、化学メーカーで働く人にとって直接変わるのは、反応条件の探索にかかる時間です。その時間が短くなると、研究者の手が仮説立案や結果解釈に向くようになります。 一方、今回の研究が「どんな研究室でも来年から使える」という話ではない点は変わりません。専門の高スループット設備と運用コストが前提で、実用化への移行には段階的な検証が必要です。 どのフェーズから自動化を始めるか。その起点となる実験データが出てきた、という受け止め方が現実的です。 📚 参考 OpenAI - A near-autonomous AI chemist improves a challenging reaction in medicinal chemistry (https://openai.com/index/ai-chemist-improves-reaction/) OpenAI - Introducing LifeSciBench (https://openai.com/index/introducing-life-sci-bench/) OpenAI - TEMPO Improves Generality and Decreases Oxidative Deboronation in Chan-Lam Couplings of Primary Sulfonamides(論文PDF)(https://cdn.openai.com/pdf/4934b0ed-3de2-4ac5-835c-97604d52dea7/tempo-improves-generality-and-decreases-oxidative-deboronation.pdf)

June 18, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAI Rosalind Biodefenseと公衆衛生AIの図解

OpenAI GPT-Rosalindが感染症・バイオ防衛へ。Rosalind Biodefenseの審査制と初期パートナーを確認する

新型感染症が確認されてから世界中に広がるまでの時間は、近年どんどん短くなっています。ウイルスの塩基配列から危険度を判断できる専門家の数は限られており、その判断を支える計算作業には今も多くの時間がかかります。 OpenAIは2026年5月29日、生命科学向けのフロンティアモデル「GPT-Rosalind」を公衆衛生・バイオ防衛の現場に届けるプログラム「Rosalind Biodefense」を発表しました。審査を通過した機関がGPT-Rosalindにアクセスできる仕組みで、感染症の早期検知やワクチン開発の加速を目指すとしています。 🔬 発表の内容:2つの新しい動き 今回の発表には大きく2つの要素があります。1つ目は「GPT-Rosalind」そのものの公開範囲の拡大、2つ目は「Rosalind Biodefense」という審査制アクセスプログラムの開始です。 GPT-Rosalindは生命科学の推論に特化して開発されたモデルで、タンパク質構造の解析や遺伝子配列の評価、文献からの知識抽出などを得意とします。これまではOpenAIのAPIを通じた限定的な提供にとどまっていましたが、今回のプログラムで公衆衛生機関・政府パートナー・バイオ防衛関連の開発者がアクセス申請できる窓口が整備されました。 Rosalind Biodefenseは、アクセスを希望する組織がOpenAI側の審査を受けて承認されると、GPT-Rosalindをアプリケーションに組み込めるという仕組みです。審査の対象は用途・組織・セキュリティ体制などとされており、誰でも即日使えるサービスではありません。 🔑 なぜ審査制なのか 生命科学のフロンティアモデルが誰でも使えるオープンな状態になると、悪用リスクが高まるという懸念があります。病原体の性質を解析・予測できるモデルは、防衛と攻撃の両面に使えるからです。OpenAIはこのリスクへの対応として「trusted access(信頼されたアクセス)」という概念を打ち出し、審査した相手にだけアクセスを認める設計を選びました。 「trusted access」の審査基準が具体的にどこまで公開されるのかは、現時点では不明です。審査基準が不透明なままだと、どの組織が通過できてどの組織が弾かれるのかを外部から評価できません。 この点は、OpenAIの今後の発表で確認が必要です。 ただし、誰でも自由にアクセスできる状態と比べると、責任の所在が明確になります。審査制の枠組み自体には一定の合理性があります。国家安全保障に関わるツールが民間AIプラットフォームから提供される構造には、今後も議論が続きます。 🏛️ 初期パートナーが示す活用の現場 発表時点で名前が挙がっている初期パートナーには、感染症サーベイランスを手がける研究機関、ゲノム解析を使ったアウトブレイク調査を行う公衆衛生機関、そしてワクチン開発の加速を目指す非営利組織が含まれています。 特に注目されるのが、感染症のパンデミック宣言から100日以内にワクチン候補を提供することを目標とする「CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)」との連携です。CEPIの「100日ミッション」はCOVID-19を教訓に設計された目標で、GPT-Rosalindによる配列解析の高速化がその達成を後押しできるかが焦点になります。 バイオ防衛の文脈では、既知の病原体データベースとGPT-Rosalindを組み合わせて「未知の配列が既知の危険な病原体とどれだけ類似しているか」を素早く評価する用途が想定されています。専門家の判断を置き換えるのではなく、初期スクリーニングの速度を上げるための補助ツールという位置づけです。 📊 GPT-Rosalind自体の性能 OpenAIが公開したベンチマーク結果では、GPT-Rosalindは生命科学特化の評価指標「BixBench」および「LABBench2」で従来モデルを上回るスコアを記録しています。BixBenchはバイオインフォマティクスの実践的タスクを測る指標、LABBench2は実験計画・文献解釈・分子生物学的推論を総合的に評価します。 ただし、ベンチマークの高スコアが実際の公衆衛生業務でどこまで直結するかは別問題です。現場では「モデルが出した答えをどう検証するか」「誰が最終判断を下すか」というガバナンスの設計がスコア同様に重要になります。GPT-Rosalindが優れた推論をしても、それを受け取る組織の体制が整っていなければ現場での価値は限定的です。 🌏 日本の公衆衛生との接続 日本では国立感染症研究所(NIID)や地方衛生研究所がゲノムサーベイランスを担っており、COVID-19以降その体制強化が進んでいます。Rosalind Biodefenseへの日本機関の参加については、今回の発表では明示されていません。 審査制である以上、日本の公的機関がアクセスを得るには申請と審査のプロセスが必要で、政府間の調整が先行する可能性もあります。厚生労働省やAMEDが関連する国際連携の中でこのプログラムが話題に上がってくるかどうか、引き続き追いかけます。 参考情報 OpenAI「Strengthening societal resilience with Rosalind Biodefense」(2026年5月29日): https://openai.com/index/strengthening-societal-resilience-with-rosalind-biodefense/ OpenAI「Introducing GPT-Rosalind」: https://openai.com/index/introducing-gpt-rosalind/ CEPI「100 Days Mission」: https://cepi.net/100-days-mission

May 30, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
Codexが社内データの近くで動くイメージ

社内データとAIをつなぐ。OpenAI×Dell協業でCodexは企業基盤に入れるか

社内の重要データをAIに渡したいけれど、外部クラウドには出せない。そういう状況でAI導入の検討が止まっている会社は、日本にも相当数あります。 OpenAIとDell Technologiesは2026年5月18日、この問題にインフラ側から答えようとする協業を発表しました。AIエージェント「Codex」を、企業がすでに持っているオンプレミスやハイブリッド環境に接続できるようにする方針です。現時点では接続方針の発表段階であり、一般提供の開始時期や対象地域は明示されていません。 DellのオンプレミスAI基盤とCodexをつなぐ、今回の協業の全体像です。 🔍 週400万人超が使うCodexが、次は社内インフラへ向かう Codexは、コードレビュー、テストの実行、インシデント対応、大規模なコードベースの理解まで、ソフトウェア開発サイクル全体をサポートするAIエージェントです。OpenAIによれば、毎週400万人超の開発者が使っています。 用途はすでに開発以外にも広がっています。複数ツールにまたがる情報収集、レポート作成、製品フィードバックの振り分け、見込み客の選別、フォローアップ文の作成、業務システム間の調整。OpenAIは公式発表の中でこうした用途を具体的に挙げています。 今回の協業では、CodexをDell AI Data Platformと接続し、オンプレミスで保管・管理された企業データにアクセスできるようにする方針が示されました。Dell AI FactoryへのCodex・ChatGPT Enterprise・APIベースのソリューションの統合も検討されており、データ準備・記録システム管理・テスト実行・AIアプリの展開が対象です。社内情報を前提にしたエージェント活用を、実験室ではなく既存の業務基盤へ近づける動きなんです。 🏢 AIが業務で使えない壁は、データの置き場所にある AIを業務で使おうとすると、必ず出てくる問いがあります。「このデータ、外部サービスに送っていいの?」という問いです。 顧客情報、契約書、財務データ、未公開の製品情報。これらを外部クラウドへ送ることには、法的リスクや社内規定との兼ね合いがあります。金融・医療・法務・製造の現場では、データを外に出すこと自体がハードルになっています。 AIエージェントが本当に業務に使えるためには、コードだけでなく文書・業務システム・チームのワークフロー・業務知識にアクセスできる必要があります。OpenAIはこれらを「Codexが役立つために必要な社内文脈」として発表内で明示しています。それらがクラウドの外にあるなら、クラウド経由のAPIを呼び出すだけでは届きません。 🖥️ クラウドだけでは届かない社内の文脈 オンプレミスとは、クラウドサービスを使わず自社のサーバーにシステムやデータを置く形態です。クラウドと自社サーバーの両方を組み合わせる構成をハイブリッドと呼びます。多くの企業が完全なクラウド移行に踏み切れない理由は、データを国内に置く必要がある法規制、古い基幹システムとの相性、移行コストなどです。 Codexをスマホから扱えるようになった前回の記事では、外出先から作業を確認・承認できる個人向けの使い方を扱いました。今回の焦点は、企業の社内インフラにCodexを結びつけることです。組織全体の業務で、社内文脈を持ったAIを動かすための企業基盤側の展開です。 DellのIhab Tarazi氏は発表の中で、企業データがすでに存在するオンプレミス環境でAIを展開できることを、実用的で安全なAIエージェント展開の道筋として位置付けています。AIをクラウドに移すのではなく、データがある場所にAIを近づける発想です。 🔔 日本での状況と、現時点でわかっていないこと 日本でも、社内データとAIを結びつけることで具体的な成果が出始めています。 2026年5月、福岡銀行がAIエージェント基盤を導入し、ストラクチャードファイナンスにかかわる契約書類の管理業務で年間約7,000時間の削減を見込むと発表しました。契約書検索で約6,500時間、管理表作成で約500時間という内訳です。銀行業務の契約書は機密性が高く、外部クラウドへ送ることが難しいデータです。 こうした業種での実績は、オンプレミス接続型AIへの需要の高さを示しています。 一方、今回のOpenAIとDellの協業については、現時点では確認できない情報が多くあります。提供開始の時期、対象地域、価格、具体的な導入条件はいずれも明示されていません。日本向けの展開についても、公式からの言及はありません。 データアクセス範囲の権限設計についても、OpenAIの発表では具体的な言及がなく、導入側の企業が対処することになる問題として残ります。 わたしがChatGPT ProやClaude Maxを日常的に使っていて感じるのは、社内情報を前提にした回答が返ってこない場面のもどかしさです。外部サービスには渡せないデータがあるから、AIに文脈が届きません。個人の使い方でもその制約を感じるなら、企業の現場では扱うデータの機密性が上がる分、制約はさらに複雑になります。 その複雑さに、インフラ側から答えようとしているのが今回の協業です。対応プラン・価格・日本での提供開始時期・データアクセス権限の設計は、展開が具体化したときに改めて見ることになる項目です。現時点では、方向性の表明と受け止めるのが実態に近いです。 🔗 参考 OpenAI - OpenAI and Dell Technologies partner to bring Codex to hybrid and on-premises enterprise environments(https://openai.com/index/dell-codex-enterprise-partnership/) OpenAI ニュース一覧(https://openai.com/news/) ITmedia キーマンズネット - 福岡銀行、AI活用で年間7000時間の業務削減を目指す(https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2605/19/news024.html) LayerX - 地銀初、LayerXの「Ai Workforce」を福岡銀行が導入(https://getaiworkforce.com/news/20260507) ※当サイトのリンクにはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります ...

May 19, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAI CodexをChatGPTモバイルアプリから操作するイメージ

OpenAI Codex、ChatGPTモバイルアプリに統合。外出中もAIの作業を確認・承認できる

スマホを開いたら、AIが夜のうちに進めた作業の結果が届いている。差分を確認して「この方針で続けて」と入力すると、次の処理が走り出す。OpenAIは2026年5月14日、そういう働き方を想定した機能をプレビューとして公開しました。 コーディングエージェント「Codex」が、ChatGPTのiOS・Androidアプリに統合されました。ChatGPT Free含む全プランで、対応地域から順次提供されます。 🤖 スマホから何ができて、何はできないか Codexは、ChatGPTの中でコードを書くだけのツールではありません。ローカルのPC、Mac mini、リモートの開発サーバーなどに接続して、ファイルの確認、テストの実行、コードの差分作成まで進められるエージェントです。今回のアップデートで、その作業状況をiOS/AndroidのChatGPTアプリから参照・操作できるようになりました。 外出先からできる操作は、作業スレッドの状態確認、次の方針の選択、コマンドの承認、モデルの変更、新規タスクの開始、差分のレビューなどです。スマホに届くのは、スクリーンショット、ターミナルの出力、テスト結果、承認依頼といった「判断するために必要な情報」です。実際のファイルや認証情報、ローカル環境はCodexが動くマシン上に残ります。 この設計にはセキュアなリレー層が使われています。信頼済みのマシンを直接インターネットに公開することなく、スマホからアクセスできる仕組みです。 現在はmacOS向けのCodexアプリとの接続に対応しており、Windows版は近日対応予定とOpenAIが案内しています。Windows版が加われば、Mac以外の環境を使う開発者も同じワークフローを選べます。 ⚙️ 「判断を返す窓口」という設計の意図 Codexの週次利用者はすでに400万人を超えています。OpenAIは、長時間動くAIエージェントでは「途中の短い確認」や「方針の返答」があることで、作業の停滞と手戻りを減らせると説明しています。 目を引くのは、この設計が人の判断を意図的に挟む構造になっている点です。AIに完全に丸投げはしません。AIが迷ったとき、人がPC前に戻るまで全部止まるのではなく、移動中にスマホで「こっちの方向でOK」と返せる仕組みです。AIエージェントを実用的に動かす上で、人の判断を挟む場所を設計に組み込む発想はむしろ現実的です。 承認ができる便利さは、誤ったコマンドや不要なデータアクセスを通してしまうリスクも同時に意味します。誰が何を承認できるかは、設計段階で問われることになりそうです。 💼 開発者ツールが示す、業務AIの次の形 今回のアップデートでは、モバイル統合以外にも複数の機能が一般提供されました。SSH接続でリモート環境に入れる「Remote SSH」、プロンプト内の秘密情報スキャンやメモリ作成などをカスタムできる「Hooks」の2つです。 EnterpriseとBusinessプランのユーザーには、CIパイプライン、リリースワークフロー、社内自動化で使えるスコープ付き認証情報「Programmatic access tokens」も提供されます。ChatGPT Enterpriseワークスペースでは、ローカルCLIやIDEとして使う場合に限ってHIPAA準拠にも対応しています。 現時点では、Codexは開発者向けのツールです。コードを書く仕事でなければ、すぐに使える段階ではありません。 ただ、「AIが長い作業を進め、人がスマホで要所の判断を返す」という構造は今後の業務AIに広がる方向性を示していますし、わたしはそう見ています。モバイル版は現時点でプレビュー段階ですが、資料調査、問い合わせ対応の仕分け、社内文書のチェックといった作業でも、同じパターンが使われる場面が出てきます。 参考 OpenAI — Work with Codex from anywhere(https://openai.com/index/work-with-codex-from-anywhere/) ITmedia AI+ — OpenAI、「Codex」をChatGPTモバイルアプリに統合──外出先からコーディング作業を管理(https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2605/15/news063.html) The Verge — AI artificial intelligence(https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence)

May 15, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
ChatGPT広告テストの日本展開を示す図解

ChatGPT広告が日本に拡大 FreeとGoプランで何が変わるか

ChatGPTの画面に、広告が出てきます。対象は無料のFreeプランとGoプランの利用者です。わたしはChatGPT Proを使っているので今回の広告対象外ですが、毎日使うツールの仕様変化は気になりますよね。 📅 日本展開はいつから? 対象プランを確認する OpenAIは2026年5月7日に公式ページを更新し、ChatGPT内広告テストを今後数週間で日本へ広げると明記しました。同じ更新で英国、メキシコ、ブラジル、韓国も追加対象となっています。 「発表した」と「始まった」は別です。2026年5月9日時点で、日本での広告表示開始を公式が確認した情報は出ていません。ITmediaの報道でも「数週間以内」という表現が使われています。 具体的な開始日は、まだ公表されていません。 広告の対象となるのは、ログイン済み成人ユーザーのうちFreeプランとGoプランのみです。 プラン 広告の対象 Free 対象 Go 対象 Plus 対象外 Pro 対象外 Business / Enterprise / Education 対象外 有料プランを使っている場合、今回の広告テストは関係ありません。未成年のアカウント、健康・メンタルヘルス・政治などセンシティブな会話の近くにも広告は出さないとOpenAIは説明しています。 💬 回答と広告の境界線をどう見るか OpenAIの説明では、広告はChatGPTの回答内容に影響せず、スポンサー表示として回答と明確に分離されます。 ただし、どの広告を出すかを選ぶ際に、会話のトピック・過去のチャット・過去の広告操作が使われる設計です。回答と広告が画面上で分かれていても、会話の文脈が広告の選択に作用するわけです。 正直、少し引っかかります。買い物を比較しながら広告も見せられる状況では、ChatGPTの回答が中立かどうか疑う人が出てくるからです。OpenAIが「回答への影響なし」を繰り返し強調しているのは、その懸念を先回りで打ち消すためです。 広告主に渡るデータについて、OpenAIはチャット本文・チャット履歴・メモリ・個人情報を提供しないと明示しています。広告主が受け取るのは、表示回数やクリック数などの集計データのみです。 仕事でChatGPTを使う場合も、業務内容が広告主に渡るわけではありません。ただし会話内容がOpenAIの広告選択に使われる設計は変わらないため、社内情報や顧客情報を会話に含めない基本方針は引き続き有効です。 ⚙️ 広告を消す方法と設定の確認先 OpenAIは設定画面から以下の管理ができると説明しています。 なぜその広告が表示されたかを確認する 広告データを削除する 広告パーソナライズをオフにする 広告そのものを非表示にする選択肢もありますが、その場合は1日の無料メッセージ数が減ります。広告なしで使い続けたい場合、PlusまたはProへのアップグレードで対応できます(月額費用が発生します)。 これらの設定は日本での広告テスト開始後に有効化される予定です。今の時点でChatGPTの設定画面を開いても、まだ表示されていない可能性があります。日本での展開が始まったら、アカウント設定のプライバシー関連セクションを確認してください。 🏢 OpenAIが広告を始める理由 OpenAIが広告に踏み出したのは、無料版の維持コストを補う収益源が必要だからです。2026年2月の最初の発表でも、「ChatGPTの無料アクセスを広げるための財源」として説明していました。 月額費用なしで使えるサービスを維持するには、相応の計算コストがかかります。その一部を広告収入で補う構造です。 OpenAIの広告向けページには「人が調べ、比較し、次の行動を決めようとしている会話に企業が接点を持つ」と書かれています。検索エンジンが広告収入で成り立ってきたのと同じ仕組みを、AI会話に持ち込もうとしているわけです。ChatGPTを検索代わりに使う人が増えた分だけ、その比較検討の瞬間が広告枠として価値を持ちます。 🔗 参考 OpenAI「Testing ads in ChatGPT」(https://openai.com/index/testing-ads-in-chatgpt/) OpenAI「Our approach to advertising and expanding access to ChatGPT」(https://openai.com/index/our-approach-to-advertising-and-expanding-access/) OpenAI「Advertise with ChatGPT」(https://openai.com/advertisers/) ITmedia AI+「ChatGPTの『広告表示テスト』、日本でも開始へ 数週間以内」(https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2605/08/news066.html)

May 9, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
米国防総省の機密ネットワークAI契約を説明する図解

米軍がChatGPT系AIを機密ネットワークへ 政府のAI利用、今どこまで進んだか

米国防総省が2026年5月1日に発表した契約は、生成AIを機密情報を扱うネットワークの中へ組み込んでいく段階に踏み込みました。これまで非機密の文書作成や調査支援が中心だった軍内のAI利用が、機密データを直接扱う基盤へと広がります。日々の業務で使うチャットツールとしての生成AIとは別の領域に、AIの利用範囲が伸びてきた形です。 国防総省が8社のAIを機密ネットワークへ展開する契約を結んだ 契約対象は8社です。SpaceX、OpenAI、Google、NVIDIA、Reflection、Microsoft、Amazon Web Services(AWS)、Oracleが名を連ねています。 初報の一部ではOracleを含まない7社と報じられました。国防総省の公式リリースでの正式な数字は8社です。 目的は、これらのAI機能を「合法的な作戦利用」のために展開すること。具体的な用途はデータ統合、状況把握、複雑な作戦環境での意思決定支援です。言い換えると、これまで人間の判断に頼ってきた情報整理と状況把握の一部を、AIが担う体制に変えていくということです。 公式リリースが「単一ベンダー依存を避け、長期的な柔軟性を確保するアーキテクチャを作る」と表現しているのが、わたしにはちょっと引っかかります。特定企業への依存を意図的に避けようとしている。その姿勢が、今回の複数社契約という形に出ているわけです。 今回が「AIを初めて使い始めた」発表ではない理由 展開先として示されているのが「Impact Level 6(IL6)」と「Impact Level 7(IL7)」というネットワーク環境です。 米政府のクラウドセキュリティ基準で、扱えるデータの機密レベルを区分するものです。国家安全保障にかかわる重要情報を扱う高セキュリティ環境、と理解しておくといいと思います。 ただし今回の発表は、米軍がAIを使い始めたニュースではありません。 国防総省は2025年12月9日、生成AI専用のプラットフォーム「GenAI.mil」を立ち上げています。最初に導入したのはGoogle Gemini for Governmentで、文書作成・調査・画像動画分析といった業務から始まりました。TechCrunchの報道では、この段階では非機密タスクが中心と説明されています。今回の契約は、その非機密から機密へという拡張の一歩にあたります。 GenAI.milは立ち上げから約5か月で130万人超の国防総省関係者が利用し、数千万件のプロンプトと数十万のエージェント利用があったと公式は述べています。実験的な規模はすでに超えていました。 今回の発表は、そのGenAI.milを機密レベルの高いネットワーク環境へ広げ、複数ベンダー体制に移行するものです。「試験導入の延長」ではなく、重要業務の基盤として組み込んでいく段階と見るのが自然です。 AI企業が持つ利用条件と、契約への影響 今回の発表でもう一つ大きいのが、Anthropicが契約対象に入っていない点です。 Military Timesの報道によれば、AnthropicはAIの自律兵器や国内監視につながる用途への制限を主張したとされています。国防総省との条件交渉で折り合いがつかず、今回の契約から外れた形です。 断定はできません。あくまで報道ベースの文脈です。ただ、AI企業が「どこまでの使い方を許可するか」という条件を持ち、それが実際の契約先の選定に影響しうる構図は見えてきます。 性能だけで選ばれるのではなく、用途の範囲をどう決めるかという条件が取引の中心に来る。これは政府向けAI動向として、実際に起きた事例です。 「アメリカの軍の話」として横に置くのは少し待って 職場でのAI利用について考えているなら、このニュースの構図は他人事ではありません。 政府や大きな組織がAIを業務の中枢に近い場所へ入れようとするとき、必ず問われるのが「何を処理させるか」と「誰が最終判断を持つか」です。便利さとセキュリティの両立は、組織が大きくなるほど単純ではなくなります。 自治体、医療、金融、法務、製造など、機密情報を扱う現場では、AIに渡してよい情報と渡してはいけない情報の仕分けが問われていきます。AIを使うという意思決定と同じくらい、どんな条件でどこまで使うかを決める場面が増えていく。 今回の米国防総省の動きは、組織でのAI導入判断を考えるうえで参照できる先行事例の一つです。 参考 U.S. Department of Defense – Classified Networks AI Agreements(https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4475177/classified-networks-ai-agreements/) TechCrunch – Pentagon inks deals with Nvidia, Microsoft, and AWS to deploy AI on classified networks(https://techcrunch.com/2026/05/01/pentagon-inks-deals-with-nvidia-microsoft-and-aws-to-deploy-ai-on-classified-networks/) Nextgov/FCW – Pentagon makes agreements with 7 companies to add AI to classified networks(https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/05/pentagon-makes-agreements-7-companies-add-ai-classified-networks/413264/) Military Times – Pentagon freezes out Anthropic as it signs deals with AI rivals(https://www.militarytimes.com/news/pentagon-congress/2026/05/01/pentagon-freezes-out-anthropic-as-it-signs-deals-with-ai-rivals/) Defense News – Pentagon taps Google Gemini, launches new site to boost AI use(https://www.defensenews.com/pentagon/2025/12/09/pentagon-taps-google-gemini-launches-new-site-to-boost-ai-use/) ※当サイトのリンクにはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります ...

May 2, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAI Advanced Account Security - ChatGPTのセキュリティ強化設定

ChatGPTのログインをパスワードなしにできる。OpenAIの新セキュリティ設定で何が変わるか

ChatGPTに何を入れていますか。仕事の企画案、転職の相談、健康の悩み。気づいたら、かなり深い内容を預けていますよね。 メールやSNSと違って、ChatGPTのアカウントにはその人の思考の断片が積み重なっていきます。乗っ取られたとき何が漏れるかを想像すると、ちょっと怖いものがあります。 OpenAIは2026年4月30日、ChatGPTのログインをパスワード不要の方式に完全切り替えできる新設定「Advanced Account Security」を公開しました。 OpenAIが公開した新設定。Webブラウザ版のSecurity設定ページで、2026年4月30日から有効化できます。 パスキーとは何か。パスワードがいらない理由 Advanced Account Securityの話に入る前に、パスキーについて簡単に確認しておきます。 パスキーは、スマートフォンの顔認証や指紋認証でアカウントにサインインする仕組みです。パスワードを入力する代わりに、あなたの端末の生体認証がログインの鍵になります。 フィッシング詐欺が通じません。偽サイトに誘導してパスワードを入力させる古典的な手口は、そもそも入力するパスワードがないので成立しないからです。 物理セキュリティキー(YubiKeyなどの小型デバイス)も同じ考え方で、USBやNFCで接続する鍵が認証を担います。 有効化すると何が変わるか Advanced Account Securityをオンにすると、サインインはパスキーまたは物理セキュリティキーだけに限定されます。 パスワードによるログインは無効になります。メールやSMSで送られてくるコードでのサインインも、同様に使えなくなります。パスワードが流出しても、フィッシングに遭っても、物理的な認証手段がない限りアカウントにはアクセスできない状態になります。 もうひとつ、見落とされがちな変化があります。この設定を有効にしている間、そのアカウントの会話はOpenAIのモデル学習に使われません。セキュリティ強化と、データ利用停止が同時に適用される仕様です。 対象はChatGPTのアカウントで、同じログインを使うCodex(OpenAIのコード生成・実行サービス)アカウントにも保護が適用されます。 有効化の流れ。「少なくとも2つの安全なサインイン方法」の登録と、復旧キーの保存が条件になります。 OpenAIがYubicoと組んだタイミング 今回の発表と同時に、OpenAIはセキュリティキー専業メーカーのYubicoとの提携も発表しました。 OpenAI向けのカスタムYubiKey(YubiKey C NFCとYubiKey C Nanoの2本セット)が優待価格68ドルで購入できる導線が用意されます。ただし、この購入案内が表示されるのは米国・英国・EUのユーザー向けで、日本ユーザーへの展開は現時点で明示されていません。 日本からでも、FIDO2規格(パスキーや物理キーが使う認証の国際標準)に対応した別のセキュリティキーや、スマートフォンのパスキーで同等の設定は行えます。 ちょっと気になるのは、このタイミングです。単なるセキュリティ強化にとどまらず、CodexやAIエージェント系のサービスが広がる中で、強い権限を持つアカウントを守る準備にも見えます。OpenAIが2026年6月1日から、サイバー防御組織「Trusted Access for Cyber」の個人メンバーに対してAdvanced Account Securityを必須化する予定を発表していることも、その流れと一致します。 ChatGPTがコードを書き、ファイルを操作し、外部サービスに接続して作業を代行するツールになりつつある今、ログインまわりの強化は遅いくらいだったかもしれません。 有効化前に確認すること 設定を入れる前に、ふたつの点を確認しておく価値があります。 復旧キーをなくすとアカウントに戻れない Advanced Account Securityを有効にするには、少なくとも2つの安全なサインイン方法を登録し、復旧キーを保存する必要があります。 すべてのサインイン方法と復旧キーを失うと、アカウントに戻れなくなる可能性があります。復旧キーはパスワードマネージャーやオフラインの安全な場所に保存しておくのが現実的です。 Enterpriseアカウントは対象外 ChatGPT Enterprise、企業管理ドメインに紐づくアカウントでは現在利用できません。会社支給のアカウントや企業の管理下にあるアカウントは対象外となります。 どんな人が検討すべきか 全員が今すぐ有効化すべきかというと、そうは言い切れません。 仕事のドキュメント、顧客対応文案、コード、健康・家族に関わる内容をChatGPTで扱っているなら、検討に値するセキュリティ水準です。一方、献立の相談や軽い調べ物が中心であれば、急ぐ必要はありません。 設定はWeb版のSecurity設定ページから行えます。2026年4月30日から有効化できる状態になっています。 OpenAIがこの時期にセキュリティを強化している背景については、OpenAIとMicrosoftの非独占クラウド契約の件も合わせて読むと、事業の裾野を広げながら同時にアカウントの信頼性を高める動きが見えてきます。 参考 OpenAI - Introducing Advanced Account Security(https://openai.com/index/advanced-account-security/) OpenAI Help Center - Advanced Account Security for ChatGPT accounts(https://help.openai.com/en/articles/20001221) OpenAI Help Center - Passkeys to secure your OpenAI account(https://help.openai.com/en/articles/20001039-passkeys-to-secure-your-openai-account) TechCrunch - OpenAI announces new advanced security for ChatGPT accounts, including a partnership with Yubico(https://techcrunch.com/2026/04/30/openai-announces-new-advanced-security-for-chatgpt-accounts-including-a-partnership-with-yubico/) Axios - OpenAI now lets users use passkeys instead of passwords(https://www.axios.com/2026/04/30/openai-chatgpt-logins-passkeys) Business Wire - OpenAI and Yubico Partner to Bring Custom Phishing-Resistant YubiKeys to OpenAI Users(https://www.businesswire.com/news/home/20260430610986/en/OpenAI-and-Yubico-Partner-to-Bring-Custom-Phishing-Resistant-YubiKeys-to-OpenAI-Users)

May 1, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部