米国防総省の機密ネットワークAI契約を説明する図解

米軍がChatGPT系AIを機密ネットワークへ 政府のAI利用、今どこまで進んだか

米国防総省が2026年5月1日に発表した契約は、生成AIを機密情報を扱うネットワークの中へ組み込んでいく段階に踏み込みました。これまで非機密の文書作成や調査支援が中心だった軍内のAI利用が、機密データを直接扱う基盤へと広がります。日々の業務で使うチャットツールとしての生成AIとは別の領域に、AIの利用範囲が伸びてきた形です。 国防総省が8社のAIを機密ネットワークへ展開する契約を結んだ 契約対象は8社です。SpaceX、OpenAI、Google、NVIDIA、Reflection、Microsoft、Amazon Web Services(AWS)、Oracleが名を連ねています。 初報の一部ではOracleを含まない7社と報じられました。国防総省の公式リリースでの正式な数字は8社です。 目的は、これらのAI機能を「合法的な作戦利用」のために展開すること。具体的な用途はデータ統合、状況把握、複雑な作戦環境での意思決定支援です。言い換えると、これまで人間の判断に頼ってきた情報整理と状況把握の一部を、AIが担う体制に変えていくということです。 公式リリースが「単一ベンダー依存を避け、長期的な柔軟性を確保するアーキテクチャを作る」と表現しているのが、わたしにはちょっと引っかかります。特定企業への依存を意図的に避けようとしている。その姿勢が、今回の複数社契約という形に出ているわけです。 今回が「AIを初めて使い始めた」発表ではない理由 展開先として示されているのが「Impact Level 6(IL6)」と「Impact Level 7(IL7)」というネットワーク環境です。 米政府のクラウドセキュリティ基準で、扱えるデータの機密レベルを区分するものです。国家安全保障にかかわる重要情報を扱う高セキュリティ環境、と理解しておくといいと思います。 ただし今回の発表は、米軍がAIを使い始めたニュースではありません。 国防総省は2025年12月9日、生成AI専用のプラットフォーム「GenAI.mil」を立ち上げています。最初に導入したのはGoogle Gemini for Governmentで、文書作成・調査・画像動画分析といった業務から始まりました。TechCrunchの報道では、この段階では非機密タスクが中心と説明されています。今回の契約は、その非機密から機密へという拡張の一歩にあたります。 GenAI.milは立ち上げから約5か月で130万人超の国防総省関係者が利用し、数千万件のプロンプトと数十万のエージェント利用があったと公式は述べています。実験的な規模はすでに超えていました。 今回の発表は、そのGenAI.milを機密レベルの高いネットワーク環境へ広げ、複数ベンダー体制に移行するものです。「試験導入の延長」ではなく、重要業務の基盤として組み込んでいく段階と見るのが自然でしょう。 AI企業が持つ利用条件と、契約への影響 今回の発表でもう一つ大きいのが、Anthropicが契約対象に入っていない点です。 Military Timesの報道によれば、AnthropicはAIの自律兵器や国内監視につながる用途への制限を主張したとされています。国防総省との条件交渉で折り合いがつかず、今回の契約から外れた形です。 断定はできません。あくまで報道ベースの文脈です。ただ、AI企業が「どこまでの使い方を許可するか」という条件を持ち、それが実際の契約先の選定に影響しうる構図は見えてきます。 性能だけで選ばれるのではなく、用途の範囲をどう決めるかという条件が取引の中心に来る。これは政府向けAI動向として、実際に起きた事例です。 「アメリカの軍の話」として横に置くのは少し待って 職場でのAI利用について考えているなら、このニュースの構図は他人事ではないと思います。 政府や大きな組織がAIを業務の中枢に近い場所へ入れようとするとき、必ず問われるのが「何を処理させるか」と「誰が最終判断を持つか」です。便利さとセキュリティの両立は、組織が大きくなるほど単純ではなくなります。 自治体、医療、金融、法務、製造など、機密情報を扱う現場では、AIに渡してよい情報と渡してはいけない情報の仕分けが問われていきます。AIを使うという意思決定と同じくらい、どんな条件でどこまで使うかを決める場面が増えていく。 今回の米国防総省の動きは、組織でのAI導入判断を考えるうえで参照できる先行事例の一つです。 参考 U.S. Department of Defense – Classified Networks AI Agreements(https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4475177/classified-networks-ai-agreements/) TechCrunch – Pentagon inks deals with Nvidia, Microsoft, and AWS to deploy AI on classified networks(https://techcrunch.com/2026/05/01/pentagon-inks-deals-with-nvidia-microsoft-and-aws-to-deploy-ai-on-classified-networks/) Nextgov/FCW – Pentagon makes agreements with 7 companies to add AI to classified networks(https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/05/pentagon-makes-agreements-7-companies-add-ai-classified-networks/413264/) Military Times – Pentagon freezes out Anthropic as it signs deals with AI rivals(https://www.militarytimes.com/news/pentagon-congress/2026/05/01/pentagon-freezes-out-anthropic-as-it-signs-deals-with-ai-rivals/) Defense News – Pentagon taps Google Gemini, launches new site to boost AI use(https://www.defensenews.com/pentagon/2025/12/09/pentagon-taps-google-gemini-launches-new-site-to-boost-ai-use/) ※当サイトのリンクにはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります ...

May 2, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAI Advanced Account Security - ChatGPTのセキュリティ強化設定

ChatGPTのログインをパスワードなしにできる。OpenAIの新セキュリティ設定で何が変わるか

ChatGPTに何を入れていますか。仕事の企画案、転職の相談、健康の悩み。気づいたら、かなり深い内容を預けていますよね。 メールやSNSと違って、ChatGPTのアカウントにはその人の思考の断片が積み重なっていきます。乗っ取られたとき何が漏れるかを想像すると、ちょっと怖いものがあります。 OpenAIは2026年4月30日、ChatGPTのログインをパスワード不要の方式に完全切り替えできる新設定「Advanced Account Security」を公開しました。 OpenAIが公開した新設定。Webブラウザ版のSecurity設定ページで、2026年4月30日から有効化できます。 パスキーとは何か。パスワードがいらない理由 Advanced Account Securityの話に入る前に、パスキーについて簡単に確認しておきます。 パスキーは、スマートフォンの顔認証や指紋認証でアカウントにサインインする仕組みです。パスワードを入力する代わりに、あなたの端末の生体認証がログインの鍵になります。 フィッシング詐欺が通じません。偽サイトに誘導してパスワードを入力させる古典的な手口は、そもそも入力するパスワードがないので成立しないからです。 物理セキュリティキー(YubiKeyなどの小型デバイス)も同じ考え方で、USBやNFCで接続する鍵が認証を担います。 有効化すると何が変わるか Advanced Account Securityをオンにすると、サインインはパスキーまたは物理セキュリティキーだけに限定されます。 パスワードによるログインは無効になります。メールやSMSで送られてくるコードでのサインインも、同様に使えなくなります。パスワードが流出しても、フィッシングに遭っても、物理的な認証手段がない限りアカウントにはアクセスできない状態になります。 もうひとつ、見落とされがちな変化があります。この設定を有効にしている間、そのアカウントの会話はOpenAIのモデル学習に使われません。セキュリティ強化と、データ利用停止が同時に適用される仕様です。 対象はChatGPTのアカウントで、同じログインを使うCodex(OpenAIのコード生成・実行サービス)アカウントにも保護が適用されます。 有効化の流れ。「少なくとも2つの安全なサインイン方法」の登録と、復旧キーの保存が条件になります。 OpenAIがYubicoと組んだタイミング 今回の発表と同時に、OpenAIはセキュリティキー専業メーカーのYubicoとの提携も発表しました。 OpenAI向けのカスタムYubiKey(YubiKey C NFCとYubiKey C Nanoの2本セット)が優待価格68ドルで購入できる導線が用意されます。ただし、この購入案内が表示されるのは米国・英国・EUのユーザー向けで、日本ユーザーへの展開は現時点で明示されていません。 日本からでも、FIDO2規格(パスキーや物理キーが使う認証の国際標準)に対応した別のセキュリティキーや、スマートフォンのパスキーで同等の設定は行えます。 ちょっと気になるのは、このタイミングです。単なるセキュリティ強化にとどまらず、CodexやAIエージェント系のサービスが広がる中で、強い権限を持つアカウントを守る準備にも見えます。OpenAIが2026年6月1日から、サイバー防御組織「Trusted Access for Cyber」の個人メンバーに対してAdvanced Account Securityを必須化する予定を発表していることも、その流れと一致します。 ChatGPTがコードを書き、ファイルを操作し、外部サービスに接続して作業を代行するツールになりつつある今、ログインまわりの強化は遅いくらいだったかもしれません。 有効化前に確認すること 設定を入れる前に、ふたつの点を確認しておく価値があります。 復旧キーをなくすとアカウントに戻れない Advanced Account Securityを有効にするには、少なくとも2つの安全なサインイン方法を登録し、復旧キーを保存する必要があります。 すべてのサインイン方法と復旧キーを失うと、アカウントに戻れなくなる可能性があります。復旧キーはパスワードマネージャーやオフラインの安全な場所に保存しておくのが現実的です。 Enterpriseアカウントは対象外 ChatGPT Enterprise、企業管理ドメインに紐づくアカウントでは現在利用できません。会社支給のアカウントや企業の管理下にあるアカウントは対象外となります。 どんな人が検討すべきか 全員が今すぐ有効化すべきかというと、そうは言い切れません。 仕事のドキュメント、顧客対応文案、コード、健康・家族に関わる内容をChatGPTで扱っているなら、検討に値するセキュリティ水準です。一方、献立の相談や軽い調べ物が中心であれば、急ぐ必要はないでしょう。 設定はWeb版のSecurity設定ページから行えます。2026年4月30日から有効化できる状態になっています。 OpenAIがこの時期にセキュリティを強化している背景については、OpenAIとMicrosoftの非独占クラウド契約の件も合わせて読むと、事業の裾野を広げながら同時にアカウントの信頼性を高める動きが見えてきます。 参考 OpenAI - Introducing Advanced Account Security(https://openai.com/index/advanced-account-security/) OpenAI Help Center - Advanced Account Security for ChatGPT accounts(https://help.openai.com/en/articles/20001221) OpenAI Help Center - Passkeys to secure your OpenAI account(https://help.openai.com/en/articles/20001039-passkeys-to-secure-your-openai-account) TechCrunch - OpenAI announces new advanced security for ChatGPT accounts, including a partnership with Yubico(https://techcrunch.com/2026/04/30/openai-announces-new-advanced-security-for-chatgpt-accounts-including-a-partnership-with-yubico/) Axios - OpenAI now lets users use passkeys instead of passwords(https://www.axios.com/2026/04/30/openai-chatgpt-logins-passkeys) Business Wire - OpenAI and Yubico Partner to Bring Custom Phishing-Resistant YubiKeys to OpenAI Users(https://www.businesswire.com/news/home/20260430610986/en/OpenAI-and-Yubico-Partner-to-Bring-Custom-Phishing-Resistant-YubiKeys-to-OpenAI-Users)

May 1, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
Microsoft 365 Copilotの有料導入が広がる職場AIの図解

Microsoft 365 Copilotの有料ユーザーが2,000万人を超えた。職場AIが「試してみよう」から予算の話になってきた

会社のパソコンを開くと、WordにもExcelにもOutlookにも、Copilotのアイコンが増えてきた——という方、けっこういるのではないでしょうか。「使う機会あるかな」と思いながらスルーしてきた方もいれば、すでに業務に使い始めた方もいると思います。 2026年4月29日、MicrosoftはFY26 Q3(2026年1〜3月期)の決算を発表しました。その決算コールの中で、CEOのSatya Nadella氏がMicrosoft 365 Copilotの有料商用シートが2,000万に達したと述べました。TechCrunchがこの発言を報道しています。 2,000万シートという数字が意味すること 「シート」というのは、1人のユーザーが使うためのライセンスのことです。つまり、Copilotを月額料金を払って使っている企業ユーザーが、世界で2,000万人を超えたということです。 Microsoft 365はWord、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsといったオフィスソフトのセットで、会社支給のパソコンに入っているケースが多いソフトです。その上にAI機能として乗るのがCopilotで、別途料金がかかります。つまり、すでにMicrosoft 365を契約している会社が、追加でCopilotの費用を払って導入を進めているという流れです。 Nadella氏はあわせて、ユーザー1人あたりのクエリ数(AIに指示を出した回数)が前四半期比で約20%増えたとも述べています。週次のエンゲージメント(週に1回以上Copilotを使う割合)がOutlookと同水準になっている、という発言もTechCrunchは報じています。Outlookはほぼ毎日使うメールソフトです。それと同等の使用頻度というのは、「試しに触ってみた」状態を明らかに超えています。 決算資料でもMicrosoft 365 Commercial cloudの売上成長(前年比19%増)の要因として、Microsoft 365 E5(上位プラン)とMicrosoft 365 Copilotの2つが挙げられています。AI機能が売上成長の柱になってきた、ということが数字から見えます。 Word・Excel・PowerPointの中でAIが複数ステップの作業を進める 数字の話だけでなく、機能の面でも大きな変化がありました。 2026年4月22日、MicrosoftはWord、Excel、PowerPointのCopilotに搭載した「エージェント機能」の一般提供(GA)を発表しました。「エージェント機能」というのは、1回の指示で終わるのではなく、複数のステップにわたって作業を進めていくAIの動き方のことです。 たとえばWordでは、「この報告書のドラフトを、前回の会議メモをもとに更新して」という指示に対して、関連ファイルを参照しながら文章を修正するという一連の動作をCopilotが進めます。ExcelやPowerPointでも同様に、表のデータ分析やスライドの更新といった複数手順が必要な作業を実行します。 ただし、Copilotが勝手に保存・送信することはありません。作業の途中でユーザーが確認・修正できる設計です。公式ブログでも「ユーザーがコントロールを保つ」という点を強調しています。最終的な判断は人間が行う、という前提で動く仕組みです。 日本語価格の目安と確認すべきこと 気になる方のために、日本語の価格ページで公開されている情報を書いておきます。Microsoft 365 Business StandardにCopilot Businessを追加した場合、年払いで月額相当3,298円から。Business Premiumプランでは4,797円からという表示があります(いずれも税別、表示は期間限定とされています)。 ただし価格ページには市場提供に関する注意表示もあるため、実際に購入できるかどうかや現在の価格は、法人契約の担当部署または販売パートナーに確認するのが確実です。 会社でWord・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsを使っている方にとっては、日常の作業に直接関わります。会議メモから議事録を作る、提案書の下書きを更新する、Excelの表から傾向を確認する、スライドの内容を整える。こういった作業が対象になってきます。 気になること——アクセス権とデータの扱い 便利そうな側面だけを書いておけない点もあります。 Copilotは指示したユーザーがアクセスできるファイルや情報をもとに動くので、アクセス権の設定が意図どおりになっているかが前提として重要です。「自分がアクセスできる範囲のファイルを参照する」ということは、設定次第では見せたくないデータが作業に混入するリスクにもなります。 顧客情報や機密資料をCopilotに渡す場合は、社内のポリシーを確認してから使うのが基本です。また、Copilotの出力は参考にはなりますが、最終的な文章や数値は自分の目で確認する必要があります。 焦点は、費用負担の決め方です。現場の担当者がCopilotを使いたいと思っても、ライセンス追加は会社の購買・IT部門の決裁が必要になる場合がほとんどです。2,000万シートという数字は「企業が費用を正式に認めた」件数でもある。その意味では、AIをとりあえず試すフェーズから、予算として認める会社が増えたフェーズへ、という読み方ができます。決算コールで強調されたこと自体、MicrosoftがこれをAI投資の正当化に使っていることの表れでもあります。 こうした企業同士の契約関係といえば、OpenAIとMicrosoftのクラウド契約見直しの記事でも、両社の関係がどう変化しているかをまとめています。Copilotの背景を理解する参考にどうぞ。 参考 TechCrunch - Microsoft says it has over 20M paid Copilot users and they really are using it(https://techcrunch.com/2026/04/29/microsoft-says-it-has-over-20m-paid-copilot-users-and-they-really-are-using-it/) Microsoft Investor Relations - FY26 Q3 Productivity and Business Processes Performance(https://www.microsoft.com/en-us/Investor/earnings/FY-2026-Q3/productivity-and-business-processes-performance) Microsoft Investor Relations - FY26 Q3 Metrics(https://www.microsoft.com/en-us/investor/earnings/fy-2026-q3/metrics) Microsoft 365 Blog - Copilot’s agentic capabilities in Word, Excel and PowerPoint are generally available(https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365/blog/2026/04/22/copilots-agentic-capabilities-in-word-excel-and-powerpoint-are-generally-available/) Microsoft - Microsoft 365 Copilot 価格(https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-copilot/pricing-new)

April 30, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
AmazonのAI音声要約に質問機能「Join the chat」が追加

Amazonの商品ページでAIに質問できる。レビューを読む買い物はどう変わるか

ネットで何かを買う前に、レビューを何件読みますか。10件? 20件? チクチクしないかどうか、初心者でも扱えるかどうか、洗い方はどうか。気になることが出るたびに、ページをスクロールして探す。この手間、けっこうかかりますよね。 Amazonが2026年4月28日に米国向けにロールアウトした「Join the chat」は、その手間を変えようとする機能です。 Amazonが米国向けに公開した「Join the chat」。商品ページの音声要約を聞きながら、その場でAIに質問できる(画像: Amazon公式) 音声を聞きながら、その場で「チクチクしない?」と聞ける Amazonはすでに「Hear the highlights」という機能を米国向けに展開しています。商品ページを開くと、AIホストが商品の特徴やレビューの要点を短い音声でまとめてくれるものです。2025年5月に一部ユーザー向けとしてテストが始まり、現在は数百万の商品ページに広がっています。 Join the chatは、この音声要約の上に乗る機能です。要約を聞いている途中に、テキストまたは音声で質問を投げかけると、AIホストがリアルタイムで答えてくれます。答え終わると音声要約に戻る、という流れです。 Amazon公式が挙げた質問例は、こういったものです。 「このコーヒーメーカー、初心者でも使える?」 「このセーター、チクチクしない?」 「この食器、食洗機で洗える?」 商品説明欄を探したり、レビューを何十件とスクロールしたりしなくても、聞いてしまえばいい。そういう設計です。 回答は商品詳細、カスタマーレビュー、公開情報をもとに作られます。Amazon公式によると、質問前にすでに説明された内容を考慮するそうです。同じ説明を繰り返さず、新しい情報を返す設計になっています。 展開は2026年4月28日から、米国のiOSとAndroid向けに開始されました。ただし、すべての商品が対象ではありません。音声要約のないページではJoin the chatも利用できません。今日時点では、「米国アプリの一部商品で始まった買い物体験の実験」と見ておくのがちょうどいいです。 Amazonが積み上げてきたAIショッピング体験の文脈 Join the chatは単体の機能ではなく、Amazonが段階的に構築してきた買い物体験の一部です。 すでにAmazonには、商品について質問できる生成AIアシスタント「Rufus」があります。興味のある分野の商品を追いかける「Interests」、複数商品から候補を提案する「Help me decide」もあります。今回のJoin the chatは、商品ページを開いた後の確認作業にAIを入れる機能です。 商品を探す→絞り込む→詳細を確認する、というネット通販の各ステップに、AIが入り込んできています。GoogleがGeminiをスプレッドシートに組み込んだ動きと同じ方向で、AIが日常ツールの中に入り込む流れは複数のプラットフォームで同時に進んでいます。検索ボックスに打ち込む代わりに、使っている画面の中で聞く、という入口の変化です。 AIが選んだレビューは外からわからない ちょっと気になるのは、AIが「どのレビューを拾ったか」が見えない点です。 カスタマーレビューは玉石混交で、同じ商品に対してまったく逆の評価が並ぶこともあります。AIが要約するとき、数千件あるレビューのうちどの声を重視したのか、購入者全体の傾向をどう扱ったのかは、読み上げられる要約からは読み取れません。 Amazonはすでに、AIが購入判断に直接影響する場面を広げています。便利さと引き換えに、情報の取捨選択をAIに委ねる場面が増えることは、頭の隅に置いておいていいと思います。 日本のAmazon.co.jpでの提供については、今回の公式発表に時期の記載がありません。現時点では米国市場の動きとして見ておく段階です。 参考 Amazon公式 - Amazon’s ‘Hear the highlights’ shopping feature now lets you ask questions and get real-time answers(https://www.aboutamazon.com/news/retail/amazon-hear-the-highlights-join-the-chat) Amazon公式 - Amazon’s new generative AI-powered audio feature synthesizes product summaries and reviews to make shopping easier(https://www.aboutamazon.com/news/retail/amazon-ai-shopping-features-hear-the-highlights) TechCrunch - Amazon launches an AI-powered audio Q&A experience on product pages(https://techcrunch.com/2026/04/28/amazon-launches-an-ai-powered-audio-qa-experience-on-product-pages/)

April 29, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
OpenAIとMicrosoftの提携再改定を示すヘッダー画像

OpenAIとMicrosoftの独占がゆるむ。ChatGPTとCopilotの提供ルートで何が変わるか

ChatGPTを使うとき、「どのコンピューターで動いているか」を考える人はほぼいないと思います。画面が開いて返事が返ってくれば十分。それはまったく自然です。でも、企業がChatGPTを業務に組み込もうとする場面では、「どのクラウドを経由して使えるか」が話の起点になります。自社のシステムがどこで動いているか、セキュリティポリシーがどのサービスに対応しているか。そういった事情が、導入できるかどうかの判断を左右するからです。 その構造が、今週変わりました。 2026年4月27日発表。OpenAI製品がAzure以外のクラウド経由でも提供可能になった。 「Azure専用」から「どのクラウドでも」へ Microsoftは2026年4月27日、OpenAIとの提携契約を改定したと公式ブログで発表しました。 変更のポイントは一点です。これまでOpenAIの製品は、Microsoft Azureというクラウドを通じた提供が原則でした。クラウドは、企業や開発者がAIを動かすための巨大な貸しコンピューターのようなものです。今回の改定で、OpenAIはすべての製品を、任意のクラウドプロバイダー経由で顧客に届けられるようになりました。 MicrosoftはOpenAIの主要クラウドパートナーとして残ります。Azure上での提供は引き続き優先されますが、Microsoftが対応できない機能については例外が認められる形です。「独占」から「優先」へ。改定後の関係は、そう整理できます。 収益の面でも変化があります。MicrosoftからOpenAIへの収益分配は終了します。一方、OpenAIからMicrosoftへの収益分配は2030年まで続く予定で、総額に上限が設けられています。技術ライセンスは2032年まで有効ですが、こちらも独占ではなく非独占の形になっています。 なぜ今、この改定が成立したのか Associated Pressの報道によると、OpenAIはすでにAmazon、Google、Oracleといった複数のクラウド事業者との提携を進めていました。今回の改定は、その方向性を法的に整理したものです。 特にAmazonとの提携が焦点でした。TechCrunchの報道では、OpenAIとAmazonの間には最大500億ドル規模の提携が進んでおり、AWS Bedrockというサービス上でOpenAIのモデルを使えるようにする計画と、AIエージェント向けの基盤技術を共同開発する内容が含まれていたとされています。金額だけを見ても、OpenAIがクラウド容量の確保を事業の中心課題として扱っていることがわかります。 今回の契約改定が成立したことで、このAmazonとの大型提携をめぐる法的な不確実性が解消された、というのがTechCrunchの整理です。OpenAIには、Amazonとの提携を進めるためにMicrosoftとの関係を整理する事情がありました。 改定前後のOpenAI製品の提供ルート。Azure優先は維持しつつ、他クラウドへの提供が可能になった。 ChatGPTの画面は変わらない。変わるのは選べる幅 個人でChatGPTを使っている人が、今日から何かを設定し直す話ではありません。料金が変わるわけでも、機能が増えるわけでもありません。 変わるのは、企業が「どのAIを、どのシステム基盤の上で使うか」を選ぶときの選択肢です。Microsoft 365 Copilotを中心に使う会社は、引き続きMicrosoftの仕組みの中でOpenAI技術に触れます。一方で、AWS中心の会社がChatGPT系の機能を業務システムに組み込みたい場合、Azure前提ではない選択肢が見えてきます。CopilotとChatGPTが別々の入口から同じ職場に入ってくる。そんな構図です。 社内のシステムをAWSで運用している会社が「ChatGPTをAWS経由で使いたい」と考えても、これまでは制度的に難しい面がありました。今後はAWS Bedrock上でOpenAIのモデルを使えるようになる予定です。ただし、具体的なサービス提供は「今後数週間」とされており、今日から全面提供というわけではありません。 ちょっと気になるのは、日本の中堅・中小企業がこの変化をどう受け止めるかです。国内ではNECとAnthropicの提携のように、AI導入を後押しする動きが続いています(NECがAnthropicと組んで日本の企業向けAIを展開する動き)。今回の改定で「どのクラウドを前提にするか」を見直す会社が出てくるとしたら、それは2026年後半から2027年にかけての話になりそうです。 「どのAIが賢いか」だけでなく「自社システムに乗せられるか」「サポート体制が整っているか」で選ぶ場面が増える流れは、今回の改定で加速します。 「提携解消」ではない。MicrosoftはOpenAIの最重要パートナーのまま MicrosoftはOpenAIへの巨額投資から始まり、Azure基盤でChatGPTの急成長を支えてきた会社です。今回の改定は、両社の関係を解消するものではありません。独占色を弱めた再設計です。OpenAIがAzure一社への依存を段階的に分散しながら、Microsoftとの関係を維持する形に整えたと見るのが正確です。 2032年まで続く技術ライセンス、2030年まで続く収益分配。この二つを見ても、両社が向こう数年の重要なパートナーであることに変わりはありません。変わったのは「独占」という言葉がなくなったことと、それに付随して企業の選択肢の幅が広がった、その二点です。 参考 Microsoft Official Blog - The next phase of the Microsoft-OpenAI partnership (https://blogs.microsoft.com/blog/2026/04/27/the-next-phase-of-the-microsoft-openai-partnership/) TechCrunch - OpenAI ends Microsoft legal peril over its $50B Amazon deal (https://techcrunch.com/2026/04/27/openai-ends-microsoft-legal-peril-over-its-50b-amazon-deal/) Associated Press - Microsoft cuts OpenAI revenue share in a fresh step to loosen their AI alliance (https://apnews.com/article/2a44fa94da6913074f97f916332b33f6) ITmedia NEWS - OpenAIとMicrosoft、提携契約を再改定 OpenAIはAWSなど任意のクラウドで製品提供可能に (https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2604/28/news050.html) Impress Watch - MSとOpenAI、独占的ではない"柔軟"な提携へ移行 (https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2105119.html)

April 28, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
Google スプレッドシートのFill with Gemini機能のヘッダー画像

Google スプレッドシートにGeminiが入る。何が変わり、誰が使えるか

表計算の仕事で一番時間がかかるのは、関数でも分析でもなく「とにかくセルを埋める作業」だったりします。顧客リストの業種分類、問い合わせへの返信案、商品説明の項目入力——似たパターンが延々と続くのに、手を動かし続けなければならないあの時間。その部分をGeminiが引き受ける機能「Fill with Gemini」が、Google スプレッドシートに加わりました。 入力済みデータの文脈に合わせて、残りを埋める Google Workspace Updatesブログで2026年4月22日に公開された情報によると、Fill with Geminiは入力済みのデータや自然文の指示から文脈を推測して、空欄のセルに情報を自動入力する機能です。 これまでのオートフィルは、連番・日付・同じ値のコピーなど、パターンが決まった値を伸ばすものでした。Fill with Geminiはその先へ進んで、「入力された内容の意味を理解したうえで適切な値を補完する」という設計になっています。 Googleが95人の参加者を対象に実施した100セル入力タスクの比較があります。手入力と比べて最大9倍速く完了できたとしています。9倍という数字は作業内容や確認時間によって変わりますが、分類や補完が中心の繰り返し入力では、体感できる時間の差が出てくるはずです。 2種類の操作と、何ができるか 操作の入り口は大きく2通りあります。 ひとつ目は、列に少なくとも1つ入力済みのセルがある状態でドラッグする方法です。既存の内容をGeminiが参照して、残りのセルを文脈に合わせて埋めます。企業名が1件入っている列で操作すると、業種や所在地を推測して入力するような動作です。 ふたつ目は、空のセルを複数選んで自然文で指示する方法です。「この列に問い合わせへの返信案を入れて」「商品の特徴を50文字以内で入れて」のようにテキストで指定すると、Geminiが内容を生成します。 Googleが挙げている対応ケースは、情報の抽出、データの分類、返信案の作成、商品情報の入力など。関数の書き方を知らなくても使えるのが特徴です。表の空欄を埋める作業を、指示ベースで代行してもらえる設計になっています。 なお、同じ日にGoogleはGemini in Sheetsで表全体を自然文から作成・編集する機能も発表しています。数式、ピボットテーブル、グラフ、最適化問題まで自然文で操作できるとしていて、Fill with Geminiと合わせると、Sheetsに関わる作業の幅は大きく変わります。 対象プランと展開状況、日本語対応の現状 便利そうに見えますが、今すぐ全員が日本語で使えるわけではありません。 言語と地域については、GoogleヘルプにFill with Geminiの列補完機能は現時点で米国・英語のみ対応と明記されています。日本語環境への対応時期は、2026年4月27日時点では公式に示されていません。 対象プランはBusiness Standard、Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise Plus、AI Expanded Access、AI Ultra Access、Google AI Pro for Education、Google AI Pro、Google AI Ultraのいずれかです。個人向けの無料プランやBusiness Starterは対象外です。 展開スケジュールについては、Rapid Releaseドメインへの段階展開が2026年4月22日開始で最大15日間、Scheduled Releaseドメインは2026年5月6日開始で最大15日間です。対象プランを使っていても、表示されるタイミングは組織の設定次第です。 加えて、管理者のスマート機能設定も関係します。Google Workspaceのスマート機能が管理者によって無効化されている組織では、この機能は表示されません。会社の環境で使う場合は、IT管理者への確認が必要なケースがあります。 ...

April 27, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
ホンダAI運転支援2028年延期

ホンダのAI運転支援が2028年へ延期。次の車でAIはどこまで使えるか

次に車を選ぶとき、AIがどこまで運転を代わってくれるか。その答えが、また少し先に延びました。カーナビに目的地を入れれば高速でも一般道でも運転操作を支援してくれる機能を、ホンダは2027年頃に量産車へ載せる計画でした。2026年4月25日、日本経済新聞がその時期を2028年へ延期すると報じました。 延期の理由は、技術的な問題ではありません。搭載を予定していた車種が、EV戦略の見直しで白紙になった。それが直接の原因です。 延期されたのは運転支援の技術 今回の対象は「ナビゲート・オン・オートパイロット(NOA)」という運転支援システムです。ADAS(運転支援システム)の一種で、目的地を設定すると高速道路から一般道まで運転操作の多くをクルマが代わりに行います。 ただし「完全自動運転」とは別物です。ドライバーが乗らなくていい自動運転ではなく、あくまで人が乗った状態でアクセル・ブレーキ・ハンドル操作を支援する技術です。長距離の高速移動や渋滞の多い都市部では運転の負担がかなり減ります。一方で現時点では、緊急時の判断はドライバーが担う前提です。つまり、購入時には「運転を任せる機能」ではなく「疲れを減らす補助」として見るのが現実に近いです。 ホンダは2025年5月の公式説明で、この次世代ADASを2027年頃に北米と日本で投入予定のEV・ハイブリッド車の主力ラインアップへ幅広く適用すると発表していました。同年10月には米国公道でのテスト走行が順調と説明し、ハイブリッド車への展開も明言。2027年目標を2度にわたって確認していました。 EV計画の白紙化がAI搭載時期を動かした理由 今回はっきり見えたのは、技術の進捗と事業計画がまったく別のリズムで動いているという点です。 ホンダは2025年10月、米国のAI企業Helm.aiへの追加出資を発表しました。Helm.aiはEnd-to-EndのAIアーキテクチャーで運転支援を開発する会社です。これは、カメラやセンサーの入力から加速・操舵の出力までを一つのAI設計で扱う方式を指します。Deep Teachingは、少量の教師データから多様な走行場面を学ばせるHelm.ai独自の手法です。ホンダはこれらの技術と生成AIを組み合わせ、一般道・高速道路を問わず全ルートで支援する次世代ADASを共同開発しています。この投資は延期後も継続中です。 それと同時期、ホンダは四輪電動化の戦略を見直していました。EV市場の拡大スピードが想定を下回り、2030年時点のEV販売比率は従来目標の30%を下回る見通しになったと公式に説明しています。NOAを載せる予定だった車種がそのEV見直しの影響で計画から外れ、搭載時期がずれた形です。 AI技術への投資は続けながら、「どの車に載せるか」という側が先に崩れた。AIが搭載された車が市場に出るには、技術の完成だけでなく、搭載する車種の量産計画と販売戦略がセットで必要だということを、今回の延期は具体的な形で示しています。 次の車を選ぶ人に関係すること 車を近々買い替える予定がある人、あるいは高齢の家族の運転を気にしている人には直接関係する話です。 2027年頃に使えると思っていた機能が2028年以降にずれた。競合他社、たとえばトヨタやBMW、テスラも同様の運転支援機能を展開中ですが、どのメーカーがいつ日本市場で量産車に載せてくるかは、購入を考えるうえで確認が必要です。 ホンダの次世代ADASについては、2028年が現時点の目安です。搭載車種の詳細はまだ公表されていません。2028年を待つか、他社の支援機能を含めて今買うか。車選びの比較軸は、価格や燃費に加えて「どんな支援機能がいつ載るか」まで広がってきました。 日本経済新聞 - ホンダがAI自動運転も延期 EV見直し余波で28年に、競合に後れ(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC087D00Y6A400C2000000/) Honda - 2025 ビジネスアップデート 説明概要(https://global.honda/jp/news/2025/c250520.html) Honda - 次世代AD・ADASの開発強化に向け、米国Helm.ai社に追加出資(https://global.honda/jp/news/2025/c251015a.html) Honda - Japan Mobility Show 2025 取締役 代表執行役社長 三部 敏宏 スピーチ概要(https://global.honda/jp/news/2025/c251029.html)

April 26, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
AIで作った声は権利で守れるか

AIで作った声は権利で守れるか 法務省の検討会が始動

SNSに流れてきた音声が本人の声にそっくりで、本人は許可していない。そんなAI音声を見たとき、笑って流せる話なのか、権利侵害として止められる話なのか。国が線引きの整理を始めました。 声や顔が信用に直結するのは、声優や歌手に限りません。配信者、講師、営業担当、経営者の声や顔も、仕事の信用そのものになることがあります。生成AIで似た音声や画像を作れる時代には、許可を取る範囲も見直す必要が出てきます。 法務省は4月24日に初会合を開いた 法務省は2026年4月24日、「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」の第1回会合を開きました。公式ページには、議事次第、検討会の開催資料、主な論点案、判例や学説の資料が掲載されています。報道だけでなく、読者も資料を追える状態です。 この検討会の目的は、新しい罰則をすぐ作ることではありません。生成AIの普及で、肖像や声の無断利用が深刻化しているとの指摘を受け、現行法と判例をもとに民事上の責任を整理することです。民事上の責任とは、損害賠償や差し止めなど、お金や利用停止を求める場面の話です。 時事通信系の報道では、出席者がパブリシティ権や肖像権の保護対象に声も含まれるとの認識で一致したとされています。パブリシティ権は、名前、顔、姿などが持つ商業的な価値を本人がコントロールする権利です。この考え方が、AI音声の公開判断に入ってきます。 写真だけでなく、声でも本人だと分かるなら商業価値が生まれる。ここが今回の中心です。 検討会は、今夏までに指針をまとめる方向です。指針そのものに法律と同じ拘束力はありません。それでも、企業やクリエイターがAI音声やAI画像を使うときの判断材料になります。 声も本人を示す情報として扱われる 声は見た目と違い、コピーされたことに気づくまで時間がかかります。短い音声から似た声を作るサービスも増えました。本人の許可がない音声でも、動画投稿サイトやSNSに出れば、視聴者は本物だと思ってしまうことがあります。 肖像権は、顔や姿を勝手に撮られたり使われたりしない利益を守る考え方です。パブリシティ権は、著名人の名前や肖像が持つ集客力を無断で商売に使われないための考え方です。 どちらも法律の条文だけで完結する話ではないんですよね。判例の積み重ねで少しずつ形が固まる領域なので、今回の検討会資料は今後の基準を読む入口になります。 声については裁判例が多くありません。だから今回、法務省の検討会が「声も本人を識別する情報として扱えるのか」を正面から扱っています。 ただ、ここはAIサービスの利用規約の範囲では片づきません。ツール側が「作れます」と言っても、公開や収益化まで許されるとは限らないんですよね。 AIカバーやディープフェイクは作成者だけの責任では終わらない FNNは、検討会で挙がった例として、俳優に似た人物がアクションをする動画、声優キャラクターの声で別の曲を歌うAI音源、俳優が裸になっているような画像の生成を報じています。どれも「本人に似ている」「公開される」「収益や注目を集める」という要素が絡みます。 報道では、作成した本人だけでなく、無断利用を助長するアプリの開発側も責任対象にすべきだという意見も出ています。これはかなり重い論点です。AIツールを提供する企業にとっては、利用者任せにできる範囲が狭まる可能性があります。 収益目的がない作成や、著名人ではない人のケースも今後の検討対象です。たとえば、社内向けの研修動画で社員に似た声を勝手に使う。 友人の顔に似た画像をSNSで公開する。お金を取っていなくても、本人の信用や安心を傷つける場面はあります。 AI音声を出す前に確認すること 仕事でAI音声やAI動画を使う人は、完成物の品質だけを見て判断しない方がいいです。許可、本人らしさ、利用場面を決めてから公開したいところです。 公開前の確認は、本人または権利者の許可、特定人物を連想させる度合い、広告や販売や再生収益との関係に分けます。元素材の出所と削除依頼の窓口も、社内で説明できる状態にしておきたいです。 全部を満たせば安全、という話ではありません。ただ、ここで引っかかるものは公開前に止めて確認した方がいいです。AIで作った素材は、本人の名前を出していなくても、聞いた人や見た人が本人を思い浮かべることがあります。 7月ごろの指針で見たいこと 今回の検討会が整理しようとしているのは、「作れる技術」と「出していい利用」の間にある線です。AI音声の作成そのものを一律に止める話ではありません。本人の信用、商業的な価値、性的な画像被害、趣味の投稿、一般人のケースを分けて考える必要があります。 法務省の指針が出ても、すべてのケースが一発で解決するわけではありません。けれど、声も顔と同じように本人の一部として扱う方向がはっきりすれば、企業のAI利用ルールは変わります。SNS運用、広告制作、社内研修動画、VTuberや配信者の二次創作にも影響します。 AIで似た声が作れるようになった今、確認するべきなのは技術の精度だけではありません。「誰の声として受け取られるか」です。ここを外すと、便利な制作ツールがそのまま誰かの信用を削る道具になります。 参考 法務省「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00400.html) 法務省「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会第1回(令和8年4月24日)」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00399.html) リスク対策.com「AI利用、『声』も保護対象に=有識者検討会が初会合―法務省」(https://www.risktaisaku.com/articles/-/111321) FNNプライムオンライン「声優やアイドルの声を守れ!生成AI普及で無断使用の深刻化を受け法務省が有識者検討会」(https://www.fnn.jp/articles/-/1035466)

April 25, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
NECとAnthropicの提携・企業向けAI展開を解説するヘッダー画像

NECがClaudeを3万人規模で導入へ。日本企業のAI活用が「試す段階」を超えた

「うちの会社でもAIの検証は始めているんだけど、まだ一部の部署だけで」という話を、この1年でずいぶん聞くようになりました。今週、その「試す段階」が終わりに近づいているかもしれないニュースが出てきました。NECが日本企業として初めてAnthropicのグローバルパートナーになり、社内で約3万人のエンジニアがClaudeを日常利用する体制を目指すと同時に、金融・製造・自治体向けの業種別AIを展開すると発表したのです。 一部の部署で実験するPoC段階と、「社内全員が毎日使う」+「業種別に外販もする」ではまったく違います。後者がそろって初めて、AIが会社の仕組みに組み込まれたと言えるわけです。 NECが「日本初のAnthropicグローバルパートナー」になった 2026年4月23日、NECはAnthropicとの戦略的協業開始を発表しました。Anthropicはアメリカ発のAI企業で、ChatGPTに対抗するAI「Claude(クロード)」を開発しています。両社が共同でソリューションを開発・展開する「グローバルパートナー」、つまり製品を一緒に作って届ける深い提携関係で、日本企業がこのパートナーシップに入るのはNECが初めてです。AIを「使う会社」だったNECが「作って届ける会社」側にも回る、という変化です。 協業の柱は大きく二つあります。一つはNEC自身の社内導入、もう一つは日本の企業や官公庁向けの外販です。 社内では、Anthropicが今年4月9日に一般提供を開始したデスクトップ向けAIエージェント「Claude Cowork(クロード・コワーク)」、パソコン上でAIが作業を代行するアプリを活用し、開発業務の効率化を進めます。あわせてCoE(社内AI推進チーム)を立ち上げる計画で、3年程度で約3万人のエンジニアがClaudeを日常的に使う体制を目指すとしています。 金融・製造・自治体、「難しいとされた領域」を最初のターゲットに 業種別ソリューションの第一弾として名前が上がっているのが、金融、製造、自治体の3分野です。 これは注目したいところで、どれも「AI導入が難しい」とされてきた領域でもある。データの機密性、法的な制約、業務フローの複雑さ。汎用AIをそのまま使えない部分が多く、PoC止まりになる企業が多かった業種です。 NECは自社のDX推進の取り組み「BluStellar Scenario(ブルーステラ・シナリオ)」にClaudeを組み込み、経営管理や顧客対応から順次使える範囲を広げていくとしています。セキュリティや日本特有の法規制に対応した形で展開する、という点を両社ともに強調している点が特徴的です。AIが難しいとされる業種から先に動くことで、導入の本気度が伝わる構成です。 セキュリティを「後付け」にしない設計 今回の協業でもう一つ確認しておきたいのが、NECがAnthropicの技術を自社のサイバーセキュリティサービスの高度化にも使うと明言している点です。 「便利だけどデータを外に出せない」という懸念が、多くの日本企業でAI展開のブレーキになってきました。セキュリティを後から足すのではなく、導入の設計段階から組み込もうとしているのは、その懸念に正面から答えようとしているとわたしは読んでいます。規制が厳しく、情報管理に神経を使う金融や自治体を最初のターゲットにするなら、なおさら必要な姿勢でしょう。 Anthropicの東京オフィス開設と重なる意味 この提携のタイミングは、Anthropicの日本戦略とも重なります。 同社は今週、東京オフィスの開設と日本AI Safety Instituteとの協力も発表しました。AIの安全性に厳しい姿勢で知られるAnthropicが、日本市場をアジア拡大の重要拠点に位置づけていることが、複数の動きから一気に見えてきた形です。 NECとの提携は「日本向けの安全で業種対応したAIを、NECが販売・展開する」という構図になっており、Anthropicにとっては日本特有の規制環境をNECのノウハウで乗り越えるルートにもなる。日本市場への本気度を、両社から同時に感じる動きです。 この動きが中小企業や個人の仕事にどうつながるか 直接的な影響が出やすいのは、大企業や官公庁まわりの事務作業、資料作成、定型的な審査・確認業務といった領域です。今すぐ仕事がなくなるというよりは、「AIを前提に業務の手順が組み替わる」という変化が先に来るでしょう。 もう一つ。大企業が業種別の標準を作ると、その取引先や中堅企業にも「うちも対応しなければ」という動きが生まれやすい。日本のビジネス文化的に、大手が動くと周囲の追随は比較的速い。 「どの業務にAIを使えばいいのか」という問いに対して、業種別・業務別のテンプレートが整ってくるのがこれから1〜2年の流れだとすると、今回のNECの動きはその文脈で押さえておく価値があります。 出典 NEC | NEC、Anthropicとエンタープライズ AI 分野を中心に戦略的協業を開始 | https://jpn.nec.com/press/202604/20260423_01.html (2026-04-23) 日本経済新聞 | NEC、米アンソロピックと提携 法人向けAI需要を開拓 | https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC228XJ0S6A420C2000000/ (2026-04-23) Impress Watch | 金融・製造・自治体版「Claude Cowork」展開へ NECとアンソロピック提携 | https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2104228.html (2026-04-23) Anthropic | Opening Our Tokyo Office | https://www.anthropic.com/news/opening-our-tokyo-office (2026-04-23)

April 24, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部
MetaのPC操作追跡ツールMCI解説ヘッダー

会社のPC操作がAIの教材に MetaのMCI、何を記録するか

仕事でPCを使っているとき、マウスを何回クリックしたか意識したことはありますか。 その操作の記録を、Metaが4月21日から社員のPCで集め始めました。AIエージェントに人の操作を学ばせるのが目的で、会社支給PCであれば断ることはできません。 Metaが「MCI」で収集している4つのデータ MetaはMCI(Model Capability Initiative)という名称のツールを、米国拠点の社員向けに展開しました。Business Insiderが入手した社内文面には「Starting today」と記されていて、展開は2026年4月21日から始まっています。 記録されるのは、マウスの移動、クリック位置、キーストローク、そして文脈把握のための画面内容の一部です。 社内では「opt outできないのか」という声が上がりましたが、会社支給PCでは拒否できないとThe Vergeは報じています。自分が使っているPCである以上、操作の記録を止める選択肢はない状態です。 公開データでは足りない理由 AIエージェントの壁 MCIが目指しているのは、PCを人のように操作できるAIエージェントです。 「人のように操作」というのは、具体的にはこういうことです。メールを開いてリンクをクリックする。スプレッドシートで特定の列を選んで数式を入力する。ドロップダウンメニューから適切な項目を選ぶ。こうした操作を、AIが人間の代わりに行えるようにする。 この訓練に必要なのは、人が実際にどうPCを操作しているかの記録です。ところがインターネット上の公開データには、そういう情報はほとんど存在しません。どのアイコンをどのタイミングでクリックするか、どういう順番でタブを切り替えるかは、ウェブには落ちていないのです。 「日常タスクを支援するエージェントを作るには、人が実際にどうPCを使うかの実例が必要」とMeta広報はTechCrunchとThe Vergeに説明しています。MCIは、公開データでは埋めようのない空白を社員データで補う試みです。 MetaはAI関連で2026年に約1400億ドル(約21兆円)の支出を見込んでいます。トヨタの年間売上高(2024年実績:44兆円)のほぼ半分に相当する規模感です。MCIは、その大規模投資を支える訓練データ収集の一環として位置づけられています。 Metaが「使わない」と言っていること、言っていないこと Metaは、収集データを人事評価には使わず、他の目的にも使わないと説明しています。 ちょっと気になるのは、どのデータが収集対象外なのかの詳細が公開されていない点です。パスワード入力はどうか。社外に送るメール本文は含まれるか。現時点の公式情報では確認できていません。 また、現在のポリシーが今後も変わらない保証については、言及がありません。データが蓄積された先に何が起きるかは、現時点では不明です。 Reutersはこのタイミングで、Metaが5月20日から世界全体で社員の10%を削減する計画も進めていると報じています。AI投資の拡大と人員削減が同時進行しているのは、Metaが自社の働き方を大きく組み替えようとしている証拠です。 日本のオフィスで確認しておくべきこと Metaに限らず、従業員の行動データをAI学習に使う動きは他社にも広がり得ます。 日本企業でもMicrosoft CopilotやChatGPT Enterpriseの導入が広がっています。これらのサービスがどのデータを学習に使うかは各社のポリシーに記載がありますが、実際に読んでいる人はそう多くないでしょう。 確認しておく価値がある視点は3つです。社内AIが何を記録するか。そのデータが何に再利用されるか。断れる状況にあるか。 MetaのMCIは、便利な社内AIがどんなデータを使って作られるかを、あまり見えない形で進めてきた業界の流れを、珍しく明示した例といえます。 参考 Reuters - Exclusive: Meta to start capturing employee mouse movements, keystrokes for AI training data(https://www.reuters.com/sustainability/boards-policy-regulation/meta-start-capturing-employee-mouse-movements-keystrokes-ai-training-data-2026-04-21/) ロイター日本語版 - Meta、AI訓練のため従業員のマウスの動きやキーストロークの取得を開始(https://jp.reuters.com/business/technology/TWLWJEULZZJEDFQIG3GXP5VQ6M-2026-04-22/) TechCrunch - Meta will record employees’ keystrokes and use it to train its AI models(https://techcrunch.com/2026/04/21/meta-will-record-employees-keystrokes-and-use-it-to-train-its-ai-models/) The Verge - Meta AI agents employee tracking(https://www.theverge.com/tech/916681/meta-ai-agents-employee-tracking) BBC News - Meta tracks staff activity for AI(https://www.bbc.com/news/articles/cvglyklz49jo) Business Insider - Meta new AI tool tracks staff activity sparks concern(https://www.businessinsider.com/meta-new-ai-tool-tracks-staff-activity-sparks-concern-2026-4) GIGAZINE - MetaがAI訓練のため従業員のマウスの動きやキーストロークの記録を開始(https://gigazine.net/news/20260422-meta-capturing-emoloyee-mouse-keystrokes/) ※当サイトのリンクにはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります ...

April 23, 2026 · 1 min · AI Navi JP編集部