表計算の仕事で一番時間がかかるのは、関数でも分析でもなく「とにかくセルを埋める作業」だったりします。顧客リストの業種分類、問い合わせへの返信案、商品説明の項目入力——似たパターンが延々と続くのに、手を動かし続けなければならないあの時間。その部分をGeminiが引き受ける機能「Fill with Gemini」が、Google スプレッドシートに加わりました。

Google スプレッドシートのFill with Geminiを示す画像

入力済みデータの文脈に合わせて、残りを埋める

Google Workspace Updatesブログで2026年4月22日に公開された情報によると、Fill with Geminiは入力済みのデータや自然文の指示から文脈を推測して、空欄のセルに情報を自動入力する機能です。

これまでのオートフィルは、連番・日付・同じ値のコピーなど、パターンが決まった値を伸ばすものでした。Fill with Geminiはその先へ進んで、「入力された内容の意味を理解したうえで適切な値を補完する」という設計になっています。

Googleが95人の参加者を対象に実施した100セル入力タスクの比較があります。手入力と比べて最大9倍速く完了できたとしています。9倍という数字は作業内容や確認時間によって変わりますが、分類や補完が中心の繰り返し入力では、体感できる時間の差が出てくるはずです。

2種類の操作と、何ができるか

Fill with Geminiの2つの使い方の図解

操作の入り口は大きく2通りあります。

ひとつ目は、列に少なくとも1つ入力済みのセルがある状態でドラッグする方法です。既存の内容をGeminiが参照して、残りのセルを文脈に合わせて埋めます。企業名が1件入っている列で操作すると、業種や所在地を推測して入力するような動作です。

ふたつ目は、空のセルを複数選んで自然文で指示する方法です。「この列に問い合わせへの返信案を入れて」「商品の特徴を50文字以内で入れて」のようにテキストで指定すると、Geminiが内容を生成します。

Googleが挙げている対応ケースは、情報の抽出、データの分類、返信案の作成、商品情報の入力など。関数の書き方を知らなくても使えるのが特徴です。表の空欄を埋める作業を、指示ベースで代行してもらえる設計になっています。

なお、同じ日にGoogleはGemini in Sheetsで表全体を自然文から作成・編集する機能も発表しています。数式、ピボットテーブル、グラフ、最適化問題まで自然文で操作できるとしていて、Fill with Geminiと合わせると、Sheetsに関わる作業の幅は大きく変わります。

対象プランと展開状況、日本語対応の現状

便利そうに見えますが、今すぐ全員が日本語で使えるわけではありません。

言語と地域については、GoogleヘルプにFill with Geminiの列補完機能は現時点で米国・英語のみ対応と明記されています。日本語環境への対応時期は、2026年4月27日時点では公式に示されていません。

対象プランはBusiness Standard、Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise Plus、AI Expanded Access、AI Ultra Access、Google AI Pro for Education、Google AI Pro、Google AI Ultraのいずれかです。個人向けの無料プランやBusiness Starterは対象外です。

展開スケジュールについては、Rapid Releaseドメインへの段階展開が2026年4月22日開始で最大15日間、Scheduled Releaseドメインは2026年5月6日開始で最大15日間です。対象プランを使っていても、表示されるタイミングは組織の設定次第です。

加えて、管理者のスマート機能設定も関係します。Google Workspaceのスマート機能が管理者によって無効化されている組織では、この機能は表示されません。会社の環境で使う場合は、IT管理者への確認が必要なケースがあります。

7月15日まではプロモーション期間、その後は上限が変わる

2026年7月15日まではプロモーション期間として、Google SheetsのAI機能の利用上限が引き上げられた状態で提供されます。以降はユーザー単位の利用上限に切り替わる予定です。

Gemini Advanced(Google AI Ultraプラン)を日常的に使っているわたしとしては、GeminiがGoogleのサービス内データを参照するときの精度が上がってきていると感じています。Sheetsのデータと直接連携したとき、どこまで実用的な補完ができるか気になるところです。日本語環境での展開が始まったら、実際の精度を確かめてから検証記事を書くつもりです。

スプレッドシートの中でAIが動く形は、別アプリを立ち上げる手間がありません。日常の作業の流れの中にそのまま入ってくる感覚です。個人情報や社外秘データが含まれる表で使う場合は、会社のWorkspace設定とデータ取り扱いポリシーへの確認は欠かせません。

参考

  • 窓の杜 — 「Google スプレッドシート」のオートフィル機能がGeminiの力で高機能化! 自然な言語で指示可能に(https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2104617.html)
  • Google Workspace Updates — Effortlessly automate data entry in Google Sheets using Fill with Gemini(https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/04/effortlessly-automate-data-entry-in-Google-Sheets-using-Fill-with-Gemini.html)
  • Google Workspace Updates — Build and edit complex spreadsheets with Gemini in Google Sheets(https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/04/build-and-edit-complex-spreadsheets-with-Gemini-in-Google-Sheets.html)
  • Google Workspace Blog — 10 more announcements from Google Workspace at Next 2026(https://workspace.google.com/blog/product-announcements/10-more-announcements-workspace-at-next-2026)
  • TechCrunch — Google updates Workspace to make AI your new office intern(https://techcrunch.com/2026/04/22/google-updates-workspace-to-make-ai-your-new-office-intern/)
  • Google Help — Fill columns with Gemini in Google Sheets(https://support.google.com/docs/answer/15877199)